ネッソス
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ネッソス(ネッスス、希Νεσσος 、英Nessus)は、ギリシア神話に登場するケンタウロス。ヘラクレスの妻デイアネイラにちょっかいを出そうとしたところを、ヘラクレスに弓で射られて殺された。
ネッソスは死ぬ間際にデイアネイラを呼び、「自分の血は媚薬の効果がある。ヘラクレスが心変わりしたときには、自分の血を使え。」といった。後に、ヘラクレスが戦利品として絶世の美女を得たとき、心変わりを恐れたデイアネイラはネッソスの血を下着に塗った。これを着たヘラクレスは毒によって体が腐り、瀕死の重傷を負った。かれは命が助からないことを知ると、自分で火葬の準備をしてその上に横になり、火をつけるように命じた。皆しり込みして実行したがらない。が、ついにポイアスが進み出て火をつけた。ヘラクレスは感謝し、彼に自身の弓を与えた。この弓が、ポイアスの子ピロクテテスがトロイア戦争に持参した弓である。なお、一説によると火をつけたのはピロクテテス自身だったとも言う。デイアネイラはこれを知って自殺した。
ネッソスはダンテの神曲地獄篇第十二曲に、地獄の獄卒として登場する。彼はケイロンに命じられてダンテとウェルギリウスの道案内をした。
[編集] 関連
- ネッスス (小惑星)…ケンタウルス族天体の小惑星。