ハドロン
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ハドロン(Hadron:ギリシャ語の「強い」の意のhadrosに由来)とは、素粒子物理学において 強い相互作用をする粒子の総称。強粒子とも訳されるが、現代の粒子物理学者がこの和名で呼ぶことは皆無と言っていいほど少ない。
強い相互作用の基本理論であるQCD(量子色力学)では、ハドロンはクォークとグルーオンによって構成される複合粒子である。
ハドロンはバリオン(重粒子)とメソン(中間子)に大別される。
バリオンはスピンが半奇数のフェルミオンで、陽子と中性子もこれに含まれる。3つのクォークから構成されている。
メソンはスピンが整数のボソンで、パイ中間子、K中間子はこれに含まれる。クォークと反クォークのペアによって構成される。偶数個のフェルミ粒子で構成されているため、中間子自体はボース粒子である。
その他にも、エキゾチックバリオン(三つより多くのクォークから構成される系)、すなわち 4つのクォークから成るハドロン、 5つのクォークから成るペンタクォークや 6つのクォークから成るダイバリオンなどが存在する可能性が示唆されているが、実験的にはそれぞれメソン二つ、メソンとバリオン、バリオン二つの複合系との区別が難しい。
ただし、これはクォーク模型的な見方で、QCDによればクォーク、反クォークとグルオンはハドロン中に不定数あり、上述の見方は量子数について言っていると考えた方が正確である。
- ハドロンを分類する際に使われる言葉
- ストレンジネス
- 反ストレンジクォークの数で定義される数(ストレンジネス = 反ストレンジクォークの数 - ストレンジクォークの数)。
- チャーム
- チャームクォークの数で定義される数(チャーム = チャームクォークの数 - 反チャームクォークの数)。
- バリオン数
- バリオン = 1、中間子 = 0で定義される数。
- 超電荷
- ストレンジネス + バリオン数で定義される数。