バイオントダム
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バイオントダムはイタリアのヴェネト州ピアーヴェ(Piave)川の支川、バイオント(Vaiont)川の深い渓谷に作られたアーチ型のダム。1963年に大規模な地すべりを起こしてダムとしては放棄された。
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[編集] ダムの建設
ピアーヴェ川総合開発計画の一環として計画された。1959年に着工され、1960年11月30日に竣工した。完成当時、堤高262mと当時の世界最大を誇った。
[編集] ダムの完成後
貯水開始後、地震が頻発するようになり、水深が130mとなった時点で最初の地滑りが発生した。この地滑りで貯水池が二分される形になったため、両方を結ぶバイパス水路を建設した。
[編集] ダム貯水池津波
1963年、この年は記録的な豪雨に見舞われ、9月には貯水量を下げるために3本のトンネルから放水が行われた。そして10月9日22時39分、ダムの左岸の山が2km以上に渡って地滑りを起こして崩壊。2.5億m3以上もの土砂がダム湖に流れ込んだ。これによりダム地点で最大100mを超す津波を引き起こし、5000万m3の水が溢れ、下流の村々を押し流した。この結果、ダムの工事関係者と下流に住む人2125人が死亡し、594戸の家屋が全壊するという大惨事となった。特に直撃を受けたロンガローネ村はほぼ全滅の被害を受けた。
地すべりは、地下水位の急激な変動が引き金になるといわれており、バイオントダムではダム関係者が放流を急ぎ過ぎて水位降下が早かったのが原因だと指摘する声もある。
[編集] 事故の影響
事故の責任を問う裁判が行われ、住民を避難させなかったとして8人の関係者が有罪となった。
また、この事故後、ダムの建設において周辺の地質を調べることが特に重要視されるようになった。どれだけ頑丈な堤防を作っても、周囲の山が崩落してはダム湖の水など簡単に溢れることが判ったためである。
日本では地質が脆弱なことが多く、ダム地点の地質条件については慎重な調査と対策がおこなわれてきたが、湛水域の地質についてはダム計画決定後に調査されることが多い。そのため、時には湛水域で小規模な地すべりが発生しているが、下流に被害が生じたことはない。2003年4月に奈良県の大滝ダムで試験湛水中に白屋地区地すべり(国交省発表の土量は200万m3)が起こった。しかし斜面にクラックを生じた段階で試験湛水を中止し、地すべり対策をおこなったため、このときも下流に被害を生じていない。現在、大滝ダムは恒久対策が完了するまで本格的な運用を停止し、洪水調節ができない。(出典:大滝ダム地すべり災害(奈良県)調査報告書,国土問題,68号,国土問題研究会,2006年4月,印刷中)
[編集] ダムを扱った映像作品
- プロジェクトV~史上最悪のダム災害~(2001年制作)(日本語版が彩プロより発売されている)
[編集] 外部リンク
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