バーチャルアナログ音源
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バーチャルアナログ音源(バーチャルアナログおんげん)とは、物理モデル音源の一種で、DSPを用いて、往年のアナログシンセサイザーのシミュレートに特化した音源。アナログシンセと同様、太くて暖かい音がする。 Clavia DMI社のNord Leadシリーズやローランド・JP-8000、JP-8080、KORG・MS2000、MS2000R、MicroKORGなどが有名。
アナログシンセは電圧や室温など周りの環境に影響されて音色が変わることがあるが、バーチャルアナログ音源はそれらの影響を非常に受けにくい。また、アナログシンセは作成した音色を記憶できないものが多数見受けられるが、バーチャルアナログ音源は音色を記憶できるため、メンテナンスの面や製品の寿命などを考えると、バーチャルアナログ音源の方がアナログシンセサイザーより使い勝手がよいと言える。Nord Lead3やヤマハのAN1xなど一部の機種はFM音源もシミュレート可能なものもある。 また、デジタル回路であるという利点を生かしてPC上の動作可能なソフトウェアシンセサイザーの中でも再現できる。
最大同時発音数は生楽器もシミュレートする一般的な物理モデル音源に比べて多く、5~20同時発音が可能なものが多い。また、AN音源はヤマハ独自のバーチャルアナログ音源の名称であり、AN1xやAN200、PLG150-ANがその音源を搭載している。
また近年では、バーチャルアナログ音源とPCM音源を組み合わせた新世代音源としてローランド・V-synth、V-synthXT、V-synth GT、KORG・Radias、Radias-Rなどが登場してきている。 これらはアナログモデリングシンセ固有の波形意外にPCMの波形をモデリングできたりシンクロさせたりといったデジタルとアナログを組み合わせたような新しい音をつくれることが特徴である。