ビーチクルーザー
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ビーチクルーザーは、自転車の一種である。
[編集] 歴史
もともとのビーチクルーザーの原点になった自転車は1910年代から細々と作られていたペーパーボーイ(Peperboy)という類いの安価な自転車である。広大な大陸の町アメリカではヨーロッパのような自転車文化が現地には根付かずにペニー・ファージングが廃れた後、すぐにモータリゼーションの時代へと突入した。この時代の自転車はイギリスからロードスターを輸入しているほどで、工業製品として自転車はアメリカでは見向きもされず、またさしたる需要もなく、アメリカのシュウィンがモーターサイクルをモチーフにした自転車を作っていたに過ぎなかった。それを1970年代の自転車ブームに乗ってアメリカ西海岸でリバイバルという形で生まれた自転車である。
[編集] 特徴
モーターサイクルを意識した特徴あるフレームで、変速機能はない。どちらかと言えば安価な自転車と言える。ハンドルの幅が広く、右だけにブレーキがあり、コースターブレーキが装備されているものと、両方にブレーキがあるものとに分かれるが、ごく稀にトラックレーサーと同じく、ブレーキが無いものも存在する。
本来のビーチクルーザーは名前の由来通りサーファーが浜辺まで乗って移動するための自転車なのでサーフボードを片手で抱えたまま走れるようにハンドルには右側に前ブレーキ、後ブレーキはコースターブレーキとなっている。また、砂地でも走れるように太めのタイヤを装備している。
ブレーキが両方に付いているものは一般の自転車と何ら変わら無いが、コースターブレーキを装備したものは、ペダルを逆に廻すとブレーキ機能が働く為、乗り慣れないうちは運転し辛い自転車でもある。また急制動は苦手なので、速さを求めずゆったりと乗ることが向いている。
日本で言えば軽快車の類いに近い使われ方をしていたが、その頑丈さのため、1970年代中頃にサンフランシスコ郊外で改造ビーチクルーザーで山遊びする事が流行り出し、後のマウンテンバイクの開発に一役立った。
現在の日本では、車体やハンドルのデザイン等から中高生などの若者(特に男子)に人気がある。主としてシルバーの車体が最も普及している。
なお、「オーバーサイズ」と呼ばれる全長の車種は、日本の公道で乗り回す事は出来ない(法令により禁止)。