フリー・ジャズ
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フリー・ジャズは、1960年代以降に発生した、いかなる西洋音楽の理論や様式に従わないといった、一連のジャズの総称。古典的、伝統的ジャズに傾倒している聴衆の中には、理解できない者や、音楽として認めないという者もかつてはいた。が、ハード・バップでの行き詰まりを打開したジャズの流れとして、モード・ジャズと双璧として、並んで挙げられることが多く、現在では認知され、ファンも多い。
これは当初、主にウエストコースト(西海岸)で実験的に行われていたものだが、オーネット・コールマンが、イーストコースト(東海岸)に紹介し、一般化したといわれている。
「フリー」は、「モード・ジャズまでのモダン・ジャズの理論の束縛からの自由」であるとか、「表現の自由」であるなどといわれりしているが、ピアノを拳で叩くように弾く「パーカッシブ奏法」や、サックスの絶叫奏法ともいうべき、「フリーキー・トーン」なども、この流れの中で出てきた演奏法である。
自由な即興演奏を「フリー・インプロビゼーション」、自由な束縛のない演奏形式を「フリー・フォーム」というが、ジャズの範囲でいう時には、この、フリー・ジャズと同義で用いられることも多い。
- 注:同時期に発生したジャズのうち、現代音楽的手法に基づいた演奏スタイルで、西洋音楽のルールから大きく逸脱しない範囲のものを、アバンギャルドとして、一般に区別されている。
ロフト・ジャズは、やや年代が下って、当時の若手前衛ジャズ演奏家たちなどによって、行われた前衛ジャズを指し、傾向いかんにかかわらず、厳密に区別されている。
[編集] 音楽理論的側面
1960年代後半に、オーネット・コールマンやジョン・コルトレーンにより、ビー・バップ・スタイルの行き詰まりを打開するために、既成の概念を全て否定するスタイルが開拓された。既成の概念とは、形式、調性、メロディ、コード進行、リズム、4ビートなどである。この試みは、既成の概念をただ否定するばかりで、結果的に音楽的側面での進歩は生まれなかった。
1970年代、ポスト・フリー(フリー以降)の時代には、フリー・ジャズがただ既成の概念を否定していたのに対し、既成の概念を否定しつつ新しい秩序を模索するという試みが始まった。フリー・ジャズで一度否定されたコードやモードを、新しい秩序の中で利用する工夫が行われている。ひとつは、ドミナント・モーションを持たないコード進行を主体とするスタイルで、もうひとつは旋法の手法をさらに発展させたスタイルである。ひとつめのスタイルでは、自由に頻繁な転調を行ったり、コード進行に12音技法を用いたり、分数コード super imposed chord を用いたりする。もうひとつのスタイルでは、コンポジット・モードと呼ばれる新しいモードを創作したり、モーダル・フレージングを発展(アッパー・ストラクチャ・トライアドの応用やペンタトニック・スケールの応用など)させたり、複旋法(ポリ・モード)を使用したりする。ポスト・フリーは音楽的にはクラシックの現代音楽と同じ精神を持っている。
カテゴリ: ジャズ | アメリカ合衆国の音楽