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プレイバイメール - Wikipedia

プレイバイメール

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

プレイバイメール (play by mail 略称 PBM) は、郵便やその他の通信媒体を用いて遠隔地のプレイヤー同士が遊ぶゲームの総称。狭義には、メールゲームメールRPGなどと呼ばれる多人数同時参加型ゲームを差すことがある。この場合のメールは電子メールではなく通常の手紙であり、電子メールを使用する場合は別にPBeMとすることが多い。日本におけるPBM主催団体の第一人者である遊演体は、同様のゲームを差してネットゲームの呼称を用いていたが、これは同社の登録商標である。

目次

[編集] 概要

元々は、ボードゲームなど複数のプレイヤーが一堂に集まる必要のあるゲームを、同じ日に長時間集まることのできないメンバー同士の間でプレイできるように、欧米のゲームファンの間で工夫され広まった遊び方のことである。

すなわち、対象となるゲームについて「自分は自分の手番でどんな行動をとるか」を宣言する手紙をプレイヤーの間でやりとりし、その結果も手紙で相互に伝える、と言う手段を採ることで、遠隔地にいても同じゲーム展開を共有することができる。

この方法は、集まることが困難な場合の代替策として編み出されたものであり、代わりの手段が登場すれば不要のものではあったが、シミュレーションゲームテーブルトークRPGなど、遊ぶゲームによっては長くプレイの手段として用いられた。

日本においては、行動宣言と結果通知の手段として郵便が使われる、「メールゲーム」「メールRPG」として知られる多人数同時参加型ゲームが、このジャンルの中心となった。

これらの郵便を利用したゲームの総称として「プレイバイメール」(略してPBM)という。

現在では、上記タイプのゲームを同様に遊ぶ場合の多くは、電子メールWWW・各種専用クライアントなど、インターネットのリソースを手段として使うように様変わりしている(オンラインゲームの項も参照)。

それらのうち、プレイヤーと主催者の間で行動宣言をやりとりする昔ながらのタイプのものを、プレイバイメール時代にならって「プレイバイeメール」「プレイバイウェブ」(各々PBeM,PBW)「定期更新型オンラインゲーム」などと呼ぶ言い方もある。

インターネット、そしてADSLなどの定額高速通信設備の急激な普及に伴い、ネットワークRPGなどが手軽に楽しめるようになった今日においては、同様の存在でありながら郵送事務の手間や高額な料金を必要とするPBMの立場は危うい物になりつつある。

[編集] 遊び方

大手PBM運営会社が主催する代表的なPBMの遊び方は、次のとおりである。

  1. 無料、あるいは低額のパンフレットやスタートセットを手に入れ、ゲーム内容を確認する。気に入れば同封の申込用紙によって正式に申し込み、プレイ料金を入金する(ゲーム期間分を一括入金するか、一月分ずつ支払うかは、選べることが多い)。
  2. 運営会社で入金が確認されると、プレイヤーキャラクター (PC) を作成するためのルールブックとPC登録用紙、事前情報を掲載した冊子などが送付される。事前情報は全てのプレイヤーに同様の情報が与えられるタイプと、プレイヤーごとに違う情報が与えられるタイプとがある。ルールブックに従ってPCを作成し、期限までに運営会社へ返送する。なお、このとき自分の住所を公開するか非公開とするかを問われることが多い。公開すると、他のプレイヤーと直接情報のやりとりを行うことができる。非公開とした場合は、希望するPCとの連絡は運営会社が代行して行う。
  3. 当月のPCがどのような行動を取るのかを決定する。主に、個別提示された状況から、自分のPCがどのような行動を取るかを説明するよう記述する(これを「リプレイ」という)。リプライについても決められた期限までに運営会社へ返送する。具体的には、「どこで」「何を」するかを問われることが多い。例えば、「PCの目の前で強盗犯が逃げている」という状況が提示されていれば、「自ら犯人を捕まえようとする」「警察や官憲に当たる人を呼びに行く」「周囲に被害が出ないよう一般人の避難を誘導する」「ひたすら逃げる」などといった無数の選択肢が考えられる。その中から、自分のしたいこと、自分のPCができそうだと思われることを記述していく。
  4. 運営会社に届いたリプライは、ゲーム管理者(「マスター」という)が内容を精査し、その月の結果(「リアクション」あるいは「リプレイ」という)をプレイヤーへ送付する。ゲームの規模によってはリアクションは何千枚にも及ぶため、自分の行動が採用されないこともある。しかし、その場合でもリアクションに描かれた人物と出会ったとして、同じリアクションを受け取った別のプレイヤーに、自分のPCを紹介されることになる。
  5. リアクションは複数書かれるため、自分の元へ届いたリアクションだけでは正確な状況をつかめないことがある。無論、自分のもらったリアクションだけを参考に次のリプライを書いてもよいが、大抵は他のプレイヤーと情報交換をし、より多くの情報を集めるほうが行動範囲が広がり、楽しく遊べる。他のプレイヤーと行動をそろえ、協力することも可能である。
  6. リアクションとは別に、全体情報を掲載した冊子も毎月送られる。ここでは世界規模で起こっている情報や、プレイヤー同士の交流(投稿)コーナーなどが掲載される。印刷の関係上、投稿コーナーはリアクションより早い締め切りを設定されていることが多い。
  7. 以上の情報を元に、再びPCの行動を決定する。これを定められた期間(1年間12回のゲームが多い。間に1月の休みを挟んで13ヶ月間で行うゲームもあった)繰り返す。

PBMでは、「グランドマスター」と呼ばれる統括責任者によってゲーム全体の流れを管理され、明確にゲームのゴールを設定されていることが多い。各マスターはプレイヤーをそのゴールへ向かって誘導しつつ、PC自身が主人公として、主体的に物語を解決することが求められる。

[編集] 運営会社

以下には、多人数同時参加型ゲームとしてのプレイバイメールを事業展開した日本国内の関連企業を挙げる。 各社の運営作品についてはプレイバイメールのタイトル一覧を参照されたい。

遊演体
1988年の「ネットゲーム'88」や1990年「蓬莱学園の冒険!!」により、日本の大規模商業PBMの草分け的存在となる。小説漫画、関連ジャンルの雑誌(RPGマガジン)における読者参加企画、テーブルトークRPG、などにコンテンツを多彩に展開した。
後の2001年-2004年にはiモード向け「蓬莱学園の冒険!!」も展開した。
ホビー・データ
「ネットワークRPG」と銘打ち、「クレギオン」など様々な作品を年替わりで展開した。
機械処理などによるPBMの金字塔を築こうとするが、様々な範囲に手を広めすぎ、また無理がたたったためか、経営能力の異常低下により2003年10月に廃業。多くの問題を残しながら事実上の倒産に至った。社長はその年に労働基準法違反により書類送検されている。
 同社作品の参加者に送付された「廃業の連絡とお詫び」によれば、平成8年~10年にかけての新規事業に対する投資に失敗し、約1億1000万円の赤字が発生。その後は経営者親族からの担保提供などでしのいできたが営業実績は改善せず、2002年の年末商戦での不手際と、2003年に入ってからの企画運営上のトラブルが深刻になり、8月以降に急激な売り上げ低下が発生した、とある。
  • 代表作
    • 「クレギオン」シリーズ
    • 「アラベスク」シリーズ
有限会社 不動館(テラネッツ)
コスモエンジニアリング(石油ガス関連企業)が母体。現在はテラネッツと名称が代わりプレイバイウェブ主体の運営となっている。
  • 代表作
    • 「クォ・ヴァディス」シリーズ
    • 「竜創騎兵ドラグーン」シリーズ
P.A.S.
現在郵便を媒体に運営している数少ない商業PBM企業。
他社に比べて、女性向けライトファンタジーものの比率が高いのが特徴。
  • 代表作
    • 「プロムナード」シリーズ
    • 「クロニクル」シリーズ
スタジオ・ビッグアイランド
郵便を媒体に運営していた商業PBM企業。
運営開始当初からいろいろな不備を指摘されていたが改善されず、運営責任者が逃げる事態にまで発展。
なお、運営していたゲームは残った人達で最後まで完遂され、2005年7月までに終了した。
  • 代表作
    • 「魔導大戦」
M2
さまざまな方面とのタイアップPBMを運営することで有名な企業。
  • 代表作
    • 「卒業~クロスワールド~」
    • 「真・女神転生~光と闇の鎮魂歌~」
    • 「ロマンスは剣の輝きⅡ」
エルスウェア
1998年にPBM事業から事実上撤退した遊演体の元マスターが多数参入する形で、翌1999年に設立。遊演体ネットゲームの流れを汲むスタイルのPBMを多数運営する他、小説雑誌における読者参加企画、テーブルトークRPGの開発、コンシューマーゲームのシナリオ執筆など、多彩な事業を展開している。
  • 代表作
    • 「狗狼伝承~放課後の旅人たち~」

これらのゲームは一般に「(会員制)メールゲーム」「ネットワークゲーム」等と呼ばれるが、ネットワークと言ってもインターネット等の通信ネットワークを使うとは限らず、原義に近い意味合いを有する。 なお、この分野の草分け的ゲーム「ネットゲーム'88」から、黎明期には「ネットゲーム」と言う呼称も用いられていた。

1990年代前半は遊演体やホビー・データらが毎年新しい作品を競って展開していたが、昨今はオンラインゲームに圧されるようになって久しい。電子メールやウェブサイトなどを利用したプレイバイウェブ型のものも増えつつあるが、サーバでの自動処理を使ったものなどオンラインゲームとの切り分けは曖昧である。

[編集] 個人運営のPBM

上記のように企業が利益を上げるために運営していた物とは別に、個人によって運営されていたPBMも全国的に多数存在する。一般的にこれらは「同人PBM」「同人メイルゲーム」などと呼ばれている。それらは運営者個人の趣味でリプレイ小説作成が行なわれているケースがほとんどで、それにより参加費も企業運営の物よりもはるかに安いケースが多い。利用料金は一年間で無料から4000円程度で、5000円を超えるケースは確認されていない。一方、企業運営のPBMは一年間で25000円程度かかるのが一般的である。

ただし、個人の趣味で開催という都合上、どうしても学業や仕事の片手間で運営という形にならざるを得ない。そのため企業運営のPBMと比べると

  • リプレイ小説配布の遅延が発生しやすい
  • リプレイ小説配布のペースが企業運営の物より遅いケースが多い
  • サポートが万全とは言いがたい

など、問題も多く見られる。中には仕事や学業との両立が不可能になってPBM自体が中止になってしまったり、またマスターや運営責任者が激務による過労とストレスで入院してしまうというケースも実際にあった。

とはいえ、企業運営のPBMと比べると遥かに手軽で参加しやすいという利点もある。1ゲームあたりの参加者は企業運営のPBMよりも遥かに少なく、1つのシナリオにつき3~8人程度なのだが、それにより自分のPCが小説に登場する機会が企業運営のPBMよりも遥かに多いのが特徴である。

この同人PBMも企業運営のPBMと同様、現在は手軽にオンラインゲームが楽しめるようになった事が影響してあまり日の目を見なくなってしまった。何よりも主催者側やマスターに運営の責任が重くのしかかり、大きな負担がかかってしまうのが問題であった。現在は携帯電話を使ったものなど新たなゲームが登場しており、プレイ時間が長期間に渡るPBMの運営を趣味の範疇で予定通りにこなすのは困難であると言わざるを得ない。

[編集] PBMの今後

上記でも触れたとおり、PBMの今後の見通しは明るいとは言えない。定額高速通信設備の急激な普及により、ネットワークRPGなどのオンラインゲームが誰でも手軽に安価で楽しめるようになり、中には無料で楽しめる物もある。それに比べると、参加費が一年間で25000円前後かかる企業運営のPBMは敬遠されがちである。

PBMの面白さとしては、下記のような意見がよく聞かれる。

  • 他のプレイヤーとの交流
  • 自由度の高さ
  • オフ会への参加
  • 無限に変化するシナリオ

しかし、これらの意見はほぼ全て、現在のネットワークRPGで再現できるものばかりである。唯一「無限に変化するシナリオ」だけはコンピューターRPGでは困難だろうとの声もあるが、これも「追加シナリオ」による拡張が可能である。つまり、運営が続きさえすればいくらでも新鮮なシナリオを楽しむ事が出来るのである。また、同じシナリオでも協力する(または敵対する)PCが違えば異なる経緯と結果を楽しむことができ、楽しさは無限に変化する。他のプレイヤーとはリアルタイムで交渉できるので、仲間集めが容易である。これでは、高額な参加費を要求する企業運営PBMを遊ぶプレイヤーが減少するのは自明の理である。

ただし、現状のMMORPGには、かつて人気のあった、現在も人気のある商業PBM・PBWほど濃密で筋の通った世界観・シナリオを実現できているものは少なく、またプレイヤーの行動が世界を大きく動かすほどの影響力を及ぼせる作品も少ない。一部の企業では「イラストレーターに自分のキャラクターのイラストを発注できる」など、他に類を見ない独自の付加サービスがあるケースもある。

まだまだ発展途上であり「数字が全て、レベル上げだけが全て」になりがちなMMORPGに対し、それ以外の楽しみ方を幅広くサポートできる事がPBM・PBWの強みであろう。

逆に言うと、これら「PBMならではの面白さ」を各運営会社が死に物狂いでアピールしていかなければ、今後MMORPGに客層を完全に奪われてしまう危険がある。

[編集] PBMの魅力とMMORPGとの違い

ここではPBMの魅力や達成感、共有感について、また、MMORPGとの明確な違いについて詳述する。

[編集] 実際のゲームの模様

PBM経験者によると、MMORPGに参加してもPBMと同じような達成感は全く得られないとの感想を聞かれることがある。

まず、PBMがMMORPGと大きく違う点として、誤解を恐れずに言えばMMORPGはその経営上、明確な目的がなく、細かいイベントはあるがあまり重要性はなく、ただ毎日が進んでいくだけのものであり、いつかは運営終了し何も残らないという性質を持っている(コンシューマゲームのように明確なエンディングを設定すると、そこでゲームサービスが終了してしまう。そこで、ゲームそのものは終了しない小さなイベントを積み重ねていくことになる。結果、プレイヤーの目的は、レベルを上げてひたすら強くなったり、他のプレイヤーと交流を深めたりすることに終始することになる)。

PBMは明確な始まりと終わりがあり、ストーリーという活字になった成果物が残る。 こういう点では、PBMはMMORPGよりはTRPGにより近い存在であると言える。

また、PBMは参加者を選ぶゲームでもある。 ただ単に、無難な行動を書き連ねるキャラクターは、名前程度しか出てこない。 ゲームを終了しても、何が面白かったのか実感はできない。

PBMとは発想と発想との勝負であり、他プレイヤーやマスターに対して、自らのキャラクターの行動をぶつけ、ゲーム内の歴史を決定していく、やり直しのできないゲームである。

当然、誰もが考え付かなかった(一貫した)行動をとった者、(行動に)カリスマのあるキャラクター、情報の中心にいるキャラクターは、他プレイヤーの関心を集め注目される。

ターン数が3~4回目ともなれば、ほぼ全員の目にキーキャラクターが誰であるか分かる。 このキーキャラクターは、初期キャラの能力値やたまたまスポットが当たったと程度で決定されるものではなく、説得力のある行動をとった「生きた」キャラクターであり、マスターが続きを書かずにはいられない気を起こさせるキャラクターであることが必須条件である。

PBMで誤解を受けやすいのが能力値である。 普通のMMORPGやRPGでは、能力値は絶対のものであり、知恵や勇気や愛だけでは能力値を超える行動はできない (ただし、例外として、TRPGではその行動をゲームマスターが認めた場合や、サイコロなどによる乱数の値によって成功することはありえる)。

しかし、PBMでは全ての能力値よりも実際の行動内容が重視される。能力値は、主にマスターにとってリアクションを書くための補足説明や行動資格にすぎない。

つまり、一貫した(ゲーム内での目標や目的を明確に持った)行動を取り、その卓越した発想力と人心を集める努力をした者が、シナリオに深く関わり、物語は彼らを重要人物として進んでいく(このようなPCを「キーキャラクター」と呼ぶ)。

行動がうまく進んだときの達成感。他プレイヤーとの協力による大きな行動と結果。ライバルキャラクターとの妨害合戦の末の意外な結末。マスターとのシナリオをめぐる攻防。自分の作り出したキャラクターが、マスターの書き上げるその世界で暗躍し、名声(悪名かも知れないが)を高め、他プレイヤーの賞賛を得る。これがPBMの醍醐味であり、最大の魅力なのである。

プレイヤーの自由な発想や秀逸な考察が生かされ、後に公式設定と認定されたものも少なくない。新しい魔法やアイテム等のアイデアを募集する事も広く行われ、人気を博した。マスターが認めれば、技能や魔法を運営側が当初予想していなかった奇想天外な形で応用する事さえ可能であった。その自由度の高さは、現在のMMORPGでは実現不可能なレベルにあると言って良い。

[編集] PBM衰退の理由と今後

PBMの現況を見る限り、将来性は期待できない。 経営側の運営姿勢によるものが最も大きい原因であると考えられているが、もうひとつ大きな原因として、ゲームへの参加に積極的ないわゆる「パワープレイヤー」をマスターへ起用したことが上げられる。

常に締め切りに追われ続ける運営側は、PBMの人気とは裏腹に過酷な業務状態にあり、慢性的なマスター不足に悩まされていた。そこで、キープレイヤーとなるほど積極的な行動力を持つプレイヤーをマスター側に引き抜いたのである。

中には成功したマスターも存在したが、大抵のプレイヤー出身マスターは特別な訓練も実績もなかったため、締め切りを守れない、リアクションの内容が稚拙であるなどといった混乱が生まれた。中には、途中でマスターを放棄した人間まで現れた。

パワープレイヤーが引き抜かれたため、ゲームを牽引するキープレイヤーが激減した。このため、平凡な行動を取るプレイヤーが多くなり、結果的に何の盛り上がりもなく終了するゲームが多くなった。これではPBMの魅力が十分に伝わらず、続けてゲームをやろうという気を起こさせなくなってしまい、さらにプレイ人口が減るという悪循環に陥った。

更に、遊演体・ホビーデータ以外の運営会社が乱立し、パワーユーザーをマスターに迎える現象が加速され、マスター・プレイヤー共に魅力のない平坦な物語が多くなってしまった。 運営会社は年会費だけ集めれば経営は成り立つため、更に質の劣化を招いた。

また、経営会社は封筒重量による郵送料金の増加を一切認めなかったため、リアクション枚数は多くても6~8枚程度に制限された。内容を面白くするためには特定のキャラクターの記述を厚くする必要があり、結果的に多くの没行動が生まれ、大多数のPCは自分の考えた行動をリアクションへ反映させることができなくなった。

ここで各プレイヤー達に疑問が沸いた。お金を払ってるのだから、各キャラクターの活躍する文字数は等しくならなければならない。そこで、原則全てのPCをリアクションへ反映させるとうたったゲームも登場したが、これが逆に更なる質の劣化を招く結果となった。小説で全キャラクターが平均的に活躍する作品などあり得ないからである。

この問題を解決するために、個人文章が1枚ずつ付けられるサービスも始まったが、顧客を満足させられるものではなかった。 何故なら、その個人用ペーパーは個人や少人数だけのもので、直接シナリオや世界を動かすようなものではなかったからである。

企業運営のPBMの参加費用は平均して年25000円前後。決して馬鹿にできない金額である。それだけの金額を払っているにも関わらず、充分な見返り、すなわち内容のあるリプレイ小説やゲームとして楽しめる要素が得られないのでは、やめてしまう人が多くなって当然である。

この現象により、多くのプレイヤーはゲームを引退し、PBeM、PBW等の多くの個人PBMが乱立したが、結局は個人マスターの負担が大きすぎ、自然消滅を迎えた。個人運営のPBMの中には現在も細々と運営を続けている、または運営自体は終了してもPBMで出来上がった物語の続編小説を定期的に作成し、インターネットで無料で公開している例もあるが、昔と比べるとそれは本当にごくわずかとなってしまった。

しかし、そのような今だからこそ本物のPBMを運営する会社が現れ、規約どおりのスケジュールでレポートが返却され、内容も面白いとなれば、ブームが復活することも大いにあり得るはずである。 何故なら、PBMを知っている人々は、他のゲームでは満足できない面白さを知っており、非常に餓えているからである。

[編集] 参考書籍

  • 『ネットゲームがよくわかる本』 ゆうせぶん(遊演体)/角川スニーカー・G文庫 ISBN 4-04-480801-5

[編集] 関連事項

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