プレリュード・ノン・ムジュレ
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プレリュード・ノン・ムジュレ(仏語:prélude non mesuré、英語:unmeasured prelude / non-measured prelude)は、フランス・バロック音楽の用語の一つ。17世紀のリュート音楽とクラヴサン音楽に使われる。
語義は、「定量化されていない前奏曲」という意味である。語源は、記譜されている音符の音価が固定されておらず、拍子やリズムの解釈が演奏者に委ねられていることに由来するが、実際には記譜されている音符も、演奏されるうちで最低限の情報しか与えられておらず、しかもしばしば小節線さえない。一種の「開かれた形式」による音楽であり、その本質は、いうなれば作曲家によって方向性が管理された即興演奏と見て差し支えない。
[編集] フランス・リュート楽派のプレリュード・ノン・ムジュレ
最初のプレリュード・ノン・ムジュレは早くもルネサンス時代に現れていた。これはリュートのための即興的な短い小品であり、たいていは楽器の具合や調弦を確めるためか、演奏曲目に入る前の導入として演奏すべきものであった。
その後プレリュード・ノン・ムジュレは、即興的な性格を維持したまま、より複雑に、より長大になってゆく。プレリュード・ノン・ムジュレは17世紀中葉までに、リュート音楽のジャンルとして独り立ちする。ただしそれまでにリュートのためのプレリュード・ノン・ムジュレは成長を終えており、17世紀の終わりとともにこのジャンルも滅びた。重要な作曲家として、ピエール・ゴーティエ、ルネ・メサンジョー、ジェルマン・ピネルらの名が挙げられる。
[編集] フランス・クラヴサン楽派のプレリュード・ノン・ムジュレ
クラヴサンのためのプレリュード・ノン・ムジュレは、1650年前後に登場した。クラヴサンにこのジャンルを取り入れた最初の作曲家は、通常ルイ・クープランであると見なされている。ルイ・クープランは全音符のみを用いてプレリュード・ノン・ムジュレを記譜し、一連の長大な曲線を描き出している。このような記譜法は、ルイ・クープランのプレリュード・ノン・ムジュレぐらいにしか見当たらない。このジャンルに重要な貢献をしたもう一人の作曲家は、ニコラ・ルベーグであり、数種類の音符(音価)をプレリュード・ノン・ムジュレの記譜に利用した。初めて出版されたプレリュード・ノン・ムジュレは、ルベーグの《クラヴサン曲集 Le pièces de claveßin 》(1677年)である。
クラヴサンのためのプレリュード・ノン・ムジュレはフランス音楽に典型的なジャンルであり、クレランボーやダングルベール、ルイ・マルシャン、エリザベト・ジャケ=ド=ラ=ゲールなどが代表的な作者である。フランス様式を採用したドイツ人作曲家もプレリュード・ノン・ムジュレを書くことがあり、たとえばヨハン・カスパール・フェルディナント・フィッシャーは、ドイツでチェンバロ組曲のためにプレリュード・ノン・ムジュレを用いた最初のひとりである。
フランソワ・クープランの有用な著書『クラヴサン奏法論 L'Art de toucher le Clavecin 』(1717年)には8つの前奏曲が含まれており、元々は定量化されず即興的だったものが、教育的な意図から定量化して記譜し直されている。この8曲と、ニコラ・シレの《クラヴサン曲集第2巻 Second Livre de Pieces de Clavecin 》(1719年)に含まれたいくつかの前奏曲が、クラヴサンのために作曲された最後のプレリュード・ノン・ムジュレとなった。
[編集] 外部リンク
- The History and Pedagogy of Jacques-François Gallay’s Non-Measured Preludes for Horn, Op. 27, Nos. 21-40 A dissertation by Dr. Scott Russell
- Louis Couperin's Unmeasured Prelude #9 performed by Andrys Basten, includes scores with Couperin's highly original unmeasured prelude notation