ヘンリー・ハドソン
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ヘンリー・ハドソン(Henry Hudson 1550年? - 1611年頃)はイギリスの探検家。北アメリカ東海岸やカナダ北東部を探検した。ハドソン湾、ハドソン海峡、ハドソン川は彼の名にちなむ。
前半生は不明。16歳ごろに船員となり、その後船長まで上り詰めたと見られる。1607年にイングランドのモスコヴィ船会社に雇われ、アジアへの最短航路を求めて北極海回りの航路に挑戦した。北極点の577海里南にまで達し、スピッツベルゲン島やヤンマイエン島を航海したが厚い氷に閉ざされ太平洋に出ることはできなかった。1608年にも再挑戦したが、厚い氷で帰らざるを得なかった。
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[編集] オランダの下でのアメリカ東海岸探検
1609年、同じくアジアへの近道を求めるオランダ東インド会社に雇われ、ハーヴ・ミーン号(Halve Maen 、英語のハーフ・ムーン号の名でも知られる)で大西洋横断航海に出た。彼の任務は以前と同様北回り航路の発見だったが、自分も含め以前の航海者がすべて氷で行く手を阻まれてきたため無理だと考えた。同時期にジェームズタウンのヴァージニア植民地が建設されたことを聞いた彼は、アメリカ南部からの横断航路を探すことにした。
ハーヴ・ミーン号はチェサピーク湾とデラウェア湾周辺を航海したが、これらの湾は太平洋にはつながっていないことが分かった。彼はその北にあるニューヨーク湾へ入りハドソン川を遡り、オールバニーにまで達したが、これより先は川幅が狭いため戻らざるを得なかった。(結局、北アメリカ大陸南部には太平洋への水路はなかったことが後に判明した。)
ハドソン川の探検で、彼はモヒカン族やワッピンガー族など多くの先住民と交易を行い、貝殻、ビーズ、そしてビーバーやカワウソの良質の毛皮を得た。オランダはこの航海をきっかけに毛皮交易を始め、この地域への権利を主張するようになる。こうしてニューネーデルラントが誕生し、1625年、ハドソン川河口のマンハッタンにその首都ニューアムステルダムが建設される。
[編集] ハドソン湾発見と末路
1610年にはヴァージニア会社とイギリス東インド会社の出資により、4度目の大西洋横断航海を行った。彼は新しい船ディスカバリー号を使用し、再度北西航路の開拓を目指して北米大陸を探検することとなった。北へ向かった彼は5月にアイスランドに到達、6月にはグリーンランドに到達し、最南端を回って西へ出た。彼はアメリカの北を迂回する北西航路をついに発見したことに興奮する。
7月25日にはハドソン海峡に達し、ラブラドル半島の北端を越えた。8月2日に後に自らの名を冠することになるカナダ北部の巨大な湾、ハドソン湾に到達する。数ヶ月間を費やし、一帯の地図の作成と探検に費やすが、11月ごろにここで海が氷に閉ざされたためハドソン湾南端のジェームズ湾に上陸し越冬を余儀なくされる。
その際、出航時に必要量を少なく見積もったことで食料が著しく欠乏したために乗組員に突き上げを食らい、やがて反乱に発展する。翌1611年の春にやっと氷が解け、航海を再開しようとしたが6月ごろ、ついに反乱が発生する。ハドソンは忠実な6人の部下と16歳の息子とともに本船を下ろされ、小舟に置き去りにされた。当時の一般的な置き去りとは違い、一切の水も食料も与えられなかったため、反乱側による死刑宣告とみなすことが出来る。与えられた小船で南下したと見られるが、消息は不明である。後に妻のキャサリンが資金を出し、捜索が行われたが、なんら成果を上げることはできなかった。
その後、南下した本隊はインディアンとの争いで多くの乗組員が戦死し(反乱の首謀者を含む)、かろうじて少人数がアイルランド南部に帰還した。指揮官を置き去りにしたことが発覚して一旦は生存者が逮捕されたものの、極限状況下の事件であるとして結局は罪に問われず釈放されたという。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- Biography at the Dictionary of Canadian Biography Online
- The life and times of Henry Hudson, explorer and adventurer
- Henry Hudson - A Brief Statement Of His Aims And His Achievements by Thomas A. Janvier, at Project Gutenberg
- Hudson and the river named for him
- Account of Hudson's last days and the mutiny
- Henry Hudson biography page
- Henry Hudson at US-History.com