ベラ亜目
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?ベラ亜目 | ||||||||||||||||||
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クマノミ Amphiprion clarkii イソギンチャクを住処とする |
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分類 | ||||||||||||||||||
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下位分類群 | ||||||||||||||||||
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ベラ亜目 Labroidei は、スズキ目の下位分類群。6科約220属2,200種を含み、スズキ亜目に次ぐ大きさのグループである。
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[編集] 特徴
全世界の熱帯から温帯に広く分布し、浅い海から汽水域、淡水域まで幅広く分布する。現在学名がついているものだけで2,200種類を超える魚が含まれるが、そのうち1,300種ほどがシクリッド科である。未分類の種類も多く、これからも種類が増えるとみられる。
分類や種類にもよるが、他のスズキ目の魚に比べて体が左右に平たく側扁する。体表は粘液があり、触るとヌルヌルする。また、鱗がわりと大きい魚が多い。
大きさは全長数cm程度の小型種から、2 m 以上に達する大型種まで非常に変異に富む。体色も種類や成長段階に応じて変異に富んでおり、サンゴ礁域に生息するものや熱帯淡水域のシクリッドなどは華やかな体色をもつものが多い。
食性や繁殖形態は科によって異なり、特にシクリッドは科の中でも多様化が進んでいる。
中型や大型の種類は食用として漁獲され、大型のベラやブダイ類には高級魚として扱われるものもある。またこれらは釣りの対象としても人気がある。一方、小型の種類でも体色が多彩なものは熱帯魚として飼育される。
[編集] 分類
ベラ亜目 Labroidei は、次の6科で構成される。
- シクリッド科(カワスズメ科)Cichlidae
- ウミタナゴ科 Embiotocidae
- スズメダイ科 Pomacentridae
- オダクス科 Odacidae
- ベラ科 Labridae
- ブダイ科 Scaridae
詳細はそれぞれの項目を参照のこと。
[編集] シクリッド科 Cichlidae
- カワスズメ科とも呼ばれる。現在知られているだけで1,300種類を超える魚が分類される大きなグループで、種類が多いだけに生態も非常に変異に富む。南アメリカと中央アメリカ、アフリカから中東を経て南アジアまでの熱帯域に分布し、淡水域と汽水域に生息する。特に南アメリカ・アマゾン川流域と、アフリカのヴィクトリア湖・タンガニーカ湖・マラウイ湖(ニアサ湖)は独自の種分化を遂げたシクリッドが多い。
[編集] ウミタナゴ科 Embiotocidae
ウミタナゴ・オキタナゴなど
- 24種類が知られる。北半球の亜熱帯から温帯にかけて分布し、淡水域、汽水域、浅い海に生息する。他の科に比べると体色は地味で、鱗が小さい。硬骨魚類では珍しい胎生魚で、卵を体内でふ化させ、全長数cmまで成長した大きな稚魚を産む。
[編集] スズメダイ科 Pomacentridae
スズメダイ・デバスズメ・ミスジリュウキュウスズメダイ・ミツボシクロスズメ・クマノミ類など
- 4亜科・28属・300種類以上が分類される。どれも熱帯から亜熱帯にかけて分布し、浅い海の岩礁やサンゴ礁に生息する小魚である。岩場の1ヶ所にまとめて産卵し、ふ化するまで卵を守る習性がある。
[編集] オダクス科 Odacidae
[編集] ベラ科 Labridae
ホンソメワケベラ・キュウセン・コブダイ・メガネモチノウオなど多数
- 4亜科・60属・約500種が知られ、熱帯から温帯の浅い海に分布する。前後に細長く、左右に平たい体を持つ。口には歯が発達し、他の小動物を捕食する。体色は種類、性別、成長段階により非常に変異に富む。
[編集] ブダイ科 Scaridae
ブダイ・アオブダイ・カンムリブダイなど
- 9属・約80種が知られ、熱帯から温帯に分布し、岩礁やサンゴ礁に生息する。歯が融合して嘴(くちばし)状になっているのが大きな特徴で、ブダイ類の英名"Parrotfish(オウム魚)"はここに由来する。体はタイのように左右に平たく、鱗が大きい。夜に眠る時は粘液を体表から分泌し、「寝袋」を作る種類もいる。