ベロタクシー
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ベロタクシー(VELOTAXI)は1997年にドイツで開発された高性能な自転車タクシー及びその運営システムである。VELOとはラテン語で自転車のこと。
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[編集] 歴史
- 1997年 ドイツ・ベルリンで開発・運行開始
- 2000年 ドイツ・ハノーヴァー万国博覧会で運行
- 2001年 ドイツ・ポツダム花博で運行
- 2002年 スイス博覧会で運行
- 2004年 アテネオリンピックで運行
- 2006年
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- 5月 シティークルーザーII発表
- 6月 FIFAワールドカップドイツ大会で運行
[編集] 日本における歴史
- 2002年
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- 4月 京都市で日本最初の運行を開始(NPO法人環境共生都市推進協会=ベロタクシージャパン)
- 10月 東京で運行を開始(ベロタクシージャパン)
- 2003年
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- 3月 第3回世界水フォーラム(京都)で運行(ベロタクシージャパン)
- 2004年
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- 3月 奈良市で運行を開始(NPO法人環境計画はぐるまねっと)
- 4月 大阪市で運行を開始(ベロタクシージャパン)
- 4月 松本市で運行を開始(NPO法人 人にやさしい街づくり推進協会)
- 5月 那覇市で運行を開始(NPO法人ecomo.i)
- 7月 広島市で運行を開始(プライマルコンセプト有限会社)
- 2005年
- 2006年
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- 5月 熊本市で運行を開始(NPO法人熊本ホスピタリティネットワーク)
- 7月~8月 松島で期間限定運行(株式会社イート)
- ※括弧内の組織名は運営団体
[編集] 車輌
ベロタクシーの車輌はシティクルーザー(City Cruiser)と呼ばれ、先進国の都市交通に適応させるため、また人と環境により優しい乗り物にするための様々な技術とアイディアが用いられている。
- 加速性向上のため、また坂道などでのドライバー負荷軽減のために電動アシストが用いられている。通常、電動アシスト付き自転車はペダルを漕いでの走行中、任意にON・OFFやアシスト力の調整をすることはできない。しかしベロタクシーの電動アシストシステムは、ペダルを漕いでの走行中、ちょうどバイクのスロットルのように右手のグリップを操作することにより、任意にON・OFFや強弱の調整が可能である。そのため道路状況、乗車人数、体力などに応じて調整しながら6−8時間営業することが可能である。
- 油圧式ディスクブレーキ
- 定員乗車時で300kg以上になるシティクルーザーを確実に減速・停止させるため、リア左右にブレンボ社製油圧式ディスクブレーキを備えている。このためドライバーは軽い操作で安全に減速・停止することが可能であり、乗客に安心感を与えるものともなっている。ちなみにフロントブレーキは自転車用のワイヤ式Vブレーキであり、パーキングブレーキを兼ねている。
- 変速システム・駆動系
- クランクからリヤアクスルまではチェーン駆動となっており、フロント3段リヤ7段の自転車用外装変速システムが装備されている。フロントはレバー式、リヤはグリップシフターで変速する。適切なギヤを選択することにより、電動アシストを常に用いなくても、ドライバーの負荷を最小限に走行をすることができる。リヤアクスルにはデファレンシャルギヤが内蔵され、カーブをスムーズに曲がることができる。
- ボディ構造
- 特徴的な卵形のボディは走行時の空気抵抗を軽減する形状となっている。また万が一自動車などと接触した場合にも乗員を保護できるよう、客席一体型の柔軟なボディが頑強なスチール製のシャシーフレームに載せられ、しっかりと固定されている。ボディの素材は軽量なポリエチレンの中空構造で、スチール製のフレームと共に100%のリサイクルが可能であり、廃車時の環境負荷をも少なくするように十分考慮されている。
- 灯火類
- 都市の交通に対応できるよう、ブレーキランプとウィンカーが装備されている。ウィンカーにはバイク等と同じようにハザードランプの機能は装備されていない。夕方にはテールランプとヘッドライトを点灯して走行する姿を見ることができる。
- 2006年5月ドイツ・ベルリンで開かれたDESIGNMAI 2006において、初のフルモデルチェンジ車輌City Cruiser IIが発表された。
[編集] ベロタクシーの運営
- 広告業として
- ベロタクシーの運営は主にボディに張られたラッピング広告の収益によって行われている。それ故ベロタクシーは広告業としての一面が強く、この基盤がしっかりしていなければ運営は難しい。そのため元々広告業を営む会社が、都心部の新たな広告媒体として運営を始めるケースもある。どんな形態の組織か、何を前面に出しているかにかかわらず、ベロタクシー運営の柱となる極めて重要な要素であることは否めない。
- 運輸業として
- 上記のように運営は主にラッピング広告の収益によって行われる。このことは運賃を比較的低い価格に抑え、乗りやすい乗り物とすることに役立っている。また、運行は基本的にドライバーに委ねられており、各自が決められたエリアの中で人の集まる場所へと赴いて行く。車輌の特性上、雨天時には運休することもある。それぞれ地元の運営組織が特色を生かし、都市の交通を補完する役割を果たすと同時に、観光ルートのツアーやまちおこしを前面に出し「まちづくりNPO」として活動している組織も多い。
- 環境保護活動として
- ベロタクシーが都市を走行することは、環境に対する啓蒙活動としての一面を持ち合わせている。こうした環境に優しいイメージや、環境保護活動としての趣旨に賛同してスポンサーとなる企業も少なくない。この点に重きを置き、「環境NPO」として運営を行っているケースもある。
[編集] ドライバー
ベロタクシーのドライバーは立場は様々ではあるが、主に20代の男性ドライバーが多い傾向にある。都市によって差はあるが、運賃の100%をドライバーの収入としている都市も多い。安定的な収入が得られるとは言い難いが、それ以上の魅力を感じて働いているドライバーも少なくない。車輌は法律上軽車両ではあるが、主に車道を営業走行するため、ドライバーには普通免許もしくは二輪免許の所持が必須要件として求められている。面接での判断後に運転の技術や交通マナー、基本的なサービスについての研修を受け、合格者のみが運行に就くこととなる。また、他の乗り物に比べてドライバーと乗客の「距離」が近いことも特徴であり、特に接客サービスや街のガイドとしての手腕が求められる。
[編集] ベロタクシーと法令
[編集] 道路交通法
ベロタクシーの車輌は道路交通法上は自転車、つまり軽車両にあたり、運行時には道路の左側端を走行することになる。また、交差点においては二段階右折で右折を行う。
- 道路交通法施行細則
- 内閣府令(総理府令)
- 内閣府によって定められる細則により、電動アシスト自転車の法的基準が決められている。日本で走行するベロタクシー車輌はすべてこの基準に適合するようにセッティングされている。
- 都道府県公安委員会規則
- 都道府県公安委員会によって定められる細則により、ベロタクシーの運行が阻まれている地区も少なくない。問題になってくるのは「自転車の乗車人員」に関連した項目で、「二輪又は三輪の自転車」においては運転者以外の乗車(小児を除く)の例外や特例を認めていない県が多く、その場合は乗客を乗せて走行をすることができない(ドライバーのみの走行は可)。粘り強い交渉により改正される場合(京都府、長野県、愛知県、福島県、神奈川県、滋賀県)もあるが、「交通渋滞を引き起こす」「事故が起きる」などの運行に対する先入観から公安委員会の理解を得られないケースも多い。
- 京都府では京都府道路交通規則第9条[1]と京都府公安委員会告示第71号[2]の規定により、ベロタクシーの運行許可地域が限定されていたが、府道路交通規則の改正・施行に伴い2007年4月1日から府内全域で運行が可能になった[3]。
- 細則によって一般道でベロタクシーへの運転者以外の乗車ができない県
- 岩手県、山形県、栃木県、群馬県、茨城県、埼玉県、千葉県、山梨県、富山県、島根県、山口県、香川県、愛媛県、高知県、佐賀県
- *栃木県、群馬県は指定された道路、佐賀県は交通が頻繁でない道路を一人に限り可
[編集] 道路運送車両法及び保安基準
この法律においてベロタクシーが関係するのは、定義を除けば軽車両の保安基準についての項目のみである。これに基づく政令により車輌の大きさ、タイヤの接地圧、制動装置、座席の寸法、警音器の装備などの基準が定められている。車輌の登録、法定検査(車検)については求められていない。ベロタクシー車輌はすべてこの基準に適合している。
なお、道路運送法(タクシー事業、バス事業等の運営に関する法律)は軽車両を用いた事業については適用外である。
[編集] 自主的な規制項目
- 運転免許
- ベロタクシーは自転車であるので法律上は誰でも運転することができる。しかし、車道を乗客を乗せて走るという性格上、ドライバーは普通免許証もしくは二輪免許の所持、道路交通法の遵守が必須要件となっている。
- 一方通行
- 多くの一方通行においては補助標識に「自動車・原付」もしくは「自転車を除く」などと示されており、その場合は自転車などの軽車両は逆進通行が可能である。しかしベロタクシーでの逆進は交通を妨げる恐れがあること、また法を犯しているという誤解を生む恐れが高いため、自主的に規制をしている。やむをえず逆進する状況が生じた場合は、ドライバーが降車し手で押して進むこととしている。
- 車両管理
- 前述の通り軽車両には車輌登録、法定検査については求められていない。しかし乗客を乗せて走行するという性質上、自主的に車輌ナンバーによる管理と定められた点検を行い、信頼性を確保している。
[編集] 日本のベロタクシー
[編集] 日本でベロタクシーの営業が行われている地区
- いわゆる仙台市街にあたる、仙台駅を起点とした約2km圏内(東端:フルキャストスタジアム宮城、北端:勝山付近、南端:愛宕橋付近、西端:仙台市立博物館、宮城県美術館)。主な運行エリアは仙台駅東口方面はフルキャストスタジアム宮城までの一本道。
- 2007年から運行
- 2007年から運行
- 広島市街・宮島
- 長崎市街・伊王島
[編集] 脚注
- ^ 京都府道路交通規則 京都府公安委員会規則第13号、京都府例規集
- ^ 2輪又は3輪の自転車による軽車両等運送事業に関する道路の指定 京都府公安委員会告示第71号、京都府例規集
- ^ 京都府道路交通規則(軽車両の乗車定員の制限)が改正されました! 京都府警察本部交通企画課法令係