ホイリゲ
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ホイリゲ(heurige)とは、オーストリア東部に見られるワイン酒場。ワインの作り酒屋が自家製ワインを売る、というのが建前なのでビールなどはなく、料理も簡単な家庭料理をセルフ・サービス方式で頼むところが多い。ワインは主に白ワインで、ジョッキ型のグラスに入っている。
なお、ホイリゲという名称は商標登録されていないことから、近年では自家製ワインを出さないホイリゲ風レストランがホイリゲと名乗って観光客目当てに営業を行うケースが増加している。自家製ワインを出し、簡単な料理しか出さない居酒屋をブッシェンシャンクという。観光地として有名なグリンツィングにはブッシェンシャンクはもうほとんど残ってない。
[編集] 歴史
17世紀後半、トルコとの戦争でウィーン市内ではワインを入手しにくくなったため、人々がウィーン郊外の農家に自家製ワインを買い出しに行くようになったのが始まりとされる。
1784年、当時の神聖ローマ帝国皇帝ヨーゼフ2世がウィーンの農家に販売許可を発令して以来、毎年11月11日に樽を開封し、向こう一年間その年の新酒を販売するようになる。ホイリゲとは本来、「今年の」新酒をさすのである。
その後、自家製ワインと簡単な食事を提供する店の営業が許可されたのをきっかけとして、自家製「ホイリゲ」と料理を自宅の庭等で提供する居酒屋を「ホイリゲ」と呼ぶようになった。
現在もグリンツィングの街など、ウィーン郊外9ヶ所ほどに、ホイリゲで有名な町が点在している。
[編集] シュランメル音楽
夕方以降のホイリゲにいくと、バイオリンを主体とした小グループによる郷土音楽の演奏によく会う。これがシュランメル音楽である。
19世紀半ばにウィーンで活躍していたシュランメル兄弟がホイリゲで演奏を始め、評判になったのが始まりといわれる。