ボウイング奏法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ボウイング奏法とは、ヴァイオリンやチェロの弓でエレキギターを奏でるギターの特殊奏法。
[編集] 概要
ギターを低めに構え、チェロを演奏するように弓で弦をこするか、あるいは叩いたり撫でるようにして演奏する。これによって通常のギタープレイでは得られない、独特の音響効果を得ることが出来るが、特にヴァイオリンやチェロと似たような音がするわけではない。また、そもそも弓自体ギター演奏用に作られてはいないものなので、余程繊細に弾かなければすぐに駄目になってしまう。弓自体決して安価なものではない上、ノイズも多く、きちんとした音響下でないとガラスを擦っているような、悪夢のような音がするので、潤沢な設備を持ちきちんとした音響知識もあるプロの方以外には余りお勧めできない。
[編集] 原点
もともとは『クリエイション』のギタリストがはじめたものが原点とされるが、イギリスのロック・バンドレッド・ツェッペリンのギタリスト、ジミー・ペイジが『幻惑されて(Dazed and Confused)』(レッド・ツェッペリン I収録)などの間奏部分で使用したことが、より有名。ジミー・ペイジの弓を弾く姿が余りに衝撃的であった為、長らく彼が考案したものだと信じられてきたが、実際には前述したように『クリエイション』のギタリストが先んじていたと指摘されている。ジミー・ペイジは飽くまでアドリブの一環、サウンド・エフェクトの一部としてテルミンなどと一緒に裏技的に用いていただけであったが、現在アイスランド出身のバンド、シガー・ロスのボーカル兼ギタリスト、ヨンシーがボウイング奏法を前面に押し出した神秘的な演奏で支持を集めている。