ボクと魔王
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ボクと魔王(ぼくとまおう)は、2001年にZENER WORKSが開発しソニー・コンピュータエンタテインメント (SCE)より発売されたプレイステーション2専用ソフト。ジャンルはRPG。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
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[編集] 概要
人形劇のような独特の雰囲気を持ったRPGファンタジーで、そのストーリーはギャグ性が高く非常にコミカル。
しかしその内容は非常に哲学的で幅広く、後半になると前半には殆ど感じられなかったシリアスな展開も用意されており、その世界観は意外なほどに奥が深い。
PS2のごく初期の作品で、視点変更が可能など当時では独自の新要素がある。しかし課題も多く、特にダンジョンでの動きは詰まり気味で、暗い画面が多くて見辛いとの評価がなされることも多い。
[編集] あらすじ
「分類」があらゆる存在を分け、人々が「単なる村人」や「勇者」等の分類に従い、それなりに暮らしている世界。 町の外ではオバケと呼ばれる魔物がふよふよ歩き回り、魔王と名乗る魔物が何人もあちこちに出現していたりした。
とある王国の田舎村テネルに、気が弱く影の薄い少年がいた。事の始まりは、あるサーカスが来た日の夜、彼の妹がオバケに襲われた時。呪いにかかった妹を救うため、父親は怪しげな壷を開ける。ところが中から出現したのは、大魔王の後継者を名乗る魔王スタンだった。
妹を救う代償として影を乗っ取られ、下僕になるよう命じられた少年。しかしスタンは復活したての為、少年の影としてしか行動できない。魔王としての威圧感はゼロ。そんなスタンの許に、王国には7人の魔王がいるとの情報が。自分がイマイチなのはニセ者のせいに違いないと決めつけたスタンは、主人公を連れてニセ魔王退治の旅に出ることにした…。
[編集] 登場キャラ
[編集] 操作キャラクター
- ルカ
- やたらと影が薄い16歳の少年。そのあまりの影の薄さのため、不幸な事この上ない人生を送ってきた。
- 『パビリオンの呪い(会話中、一文字ごとにパ行の文字がつく奇妙な呪い)』にかかった妹を救う為に、彼の父親が拾ってきた壺を開けると、中から魔王(自称)スタンが出現、影をのっとられた。その後、いい加減な家族にいい加減に見送られ、成り行きでスタンと共に世界征服兼ニセ魔王退治の旅に出る。
- スタンからは『子分』『下僕』等、かなり見下した言葉で呼ばれている。かなり控えめで気が弱く、周りに無視されがちである。
- 世界中のどんな人も持っているはずの「分類」を彼だけが何故か持っておらず、影の薄さに拍車をかけている。
- 「分類色(属性)」も彼と『ある人物』だけは「透明」。武器は剣(初期のみ拾った枝)。
- 尚、『ルカ』と言うのはデフォルトの名前で、プレイヤーが自由に変えられる。時々入るナレーションは『少年』になっている。
- スタン(本名 スタンリーハイハットトリニダード14世)
- 強大な力を持っていたが300年前に大勇者ホプキンスに倒された、『大魔王ゴーマ』の自称生まれ変わり。
- 300年間壺の中にいたので、すっかり力が衰えている。その為誰かの影に乗り移らないといけなくなり、自分に最適な影を探した結果、ルカの影が一番良いと判明し、乗り移った。
- スタンの力にかかわった者の影は蛍光ピンクになってしまう。
- その性格は魔王らしく(?)傲慢不遜で意地悪だが、ロザリーと低レベルな口喧嘩をするあたり、あまり頭が良さそうではない。
- 戦闘前にルカに対し(珍?)問答を仕掛ける事がある。この答えを気に入ると、強力な先制攻撃をする。
- 彼の本名は、上記のとおり『スタンリーハイハットトリニダード14世』だが、あまりにも長いために本人すらも正確には覚えていない。
- ロザリー
- 元エリート勇者な22歳。3年前にオバケ退治で来ていた山にてスタンの壺を開け、影を乗っ取られた。しかし、当時スタンは女性に言ってはいけない罵詈雑言をあらかた並べ立てた後、こんな影には取り憑けないと壷に戻った。怒った彼女は壺を崖から捨てたのだが、捨てた後に自身の影が蛍光ピンクになっている事に気付く。
- 特殊な日傘で影を隠すものの噂は既に広まり、そんな勇者は信用出来ないなどと言われ勇者連盟や勇者大学からお笑い勇者扱いされてきた。
- 復讐と影を元に戻す為に魔王と言う魔王の情報を探し回り、そしてスタンに影を乗っ取られたルカと出会う。だが、力の弱ったスタンではピンクの影は元に戻せないと判明し、ニセ魔王達を倒せばスタンに戻すだけの力が戻るという事なので、ルカ達に同行することになる。
- しっかり者で頼れるお姉さん的存在だが、おだてに弱かったり調子に乗りやすかったりなど、おちゃめ(?)な面も。
- 事在る毎にスタンとレベルの低い口喧嘩をし、仕舞いには宿主であるルカをも殺そうとする事もある。
- 武器は(勇者らしく?)レイピア。分類色(属性)は青(氷)。
- キスリング(本名 グッテン・キスリング)
- 知る人ぞ知るオバケ研究の世界的権威、と自称する45歳。
- それもあながち間違いではなく、妙な所で彼の名が役立ったりする。その風貌、言動や行動は珍妙そのもので、スタン曰く「呆れるほど人の話を聞かないエセ変人学者」。
- ルカについていけばいろんなオバケに遭えると勝手に予測(実際その通りなのだが)し、勝手についてくる。つまりまるきり興味本位の同行な為、ストーリーの核心部分などにはまったくと言って良いほど関係が無いが、学者と言う立場から、解説役としての重要なポジションにあたる。
- 足の爪を切る事や、ポエムが趣味であるそうで、何故かルカの父とウマが合うらしい。
- 武器は本(辞書の様な大きな本で殴ったり、魔法を読む)。分類色(属性)は黄(雷)。
- ビッグブル
- 本名(リングネーム?)はビッグブル・ザ・ブルドーザー。年齢は忘れたらしい。巨牛魔王を自称するニセ魔王だったが、ルカ達に勝負を挑みノックアウトされる。その後スタンの心意気に惚れ込み仲間として旅に同行することに。
- ルカを「駆け出し」、スタンを「兄貴」、ロザリーを「姐さん」、キスリングを「先生」、マルレインを「組長」と呼ぶ強者。後に加わるリンダは「リンダちゃん」、エプロスの事は「ダンナ」と呼ぶ。
- 力自慢の燃える男で、猪突猛進な思い込みの激しいタイプ。スタン曰く「頭の弱そうな筋肉ダルマ」。正々堂々勝負を申し込み、その場でいきなり襲わずダンジョンでフェアに闘おうという魔王らしからぬ魔王。語尾に「~ッス」とつけて話す。
- 武器は徒手空拳。分類(属性)は赤(炎)。
- リンダ
- ニセ魔王。スタンを師と仰ぐ魔族の女の子。年齢は『ひ・み・つ』。
- ルカ達に最後の試練と称し勝負を申し込むが負けてしまい、至らぬ自分を磨く為パーティーに加わる。
- アイドル魔王を自称するが歌は吃驚する程下手で、それを見かねたスタンにレッスンを受ける。魔王として目覚めた後はその歌に洗脳の力を宿らせ、一つの街をファンだらけにする程の実力者となる。
- ちなみにビッグブルはパーティー中彼女を「萌え萌えッスね」と表現した。洗脳のせいか本心かは不明。
- 基本的に移り気で軽い性格だが憎まれず、世渡りは上手い。最終的にはエプロスを慕う事に落ち着いた。言動は独特で「ぐりぐりもぐもぐ」等の迷言を持つ。
- 武器はマイク。分類(属性)は青(補助)。
- エプロス
- 幻影魔王と呼ばれる一部に顔が広いニセ魔王。年齢は不明。念入りなヘアセットとメイクがヅカ風なマジシャン。
- その知識は世界の裏事情に精通し、常に先を見通そうとしている。しかし大きな流れには逆らおうとはしない。
- ルカ一行には何らかの期待をしており、彼らを誘い出した後わざと敗北し、魔力をスタンに明け渡し仲間となる。
- 原理不明だが移動は空中浮遊。魔力(この場合、戦闘に使う魔力とは違う)があると物理攻撃をその名の如く無効化する力を駆使する。
- 武器はトランプ。分類(属性)は黄(妨害)。
[編集] その他のキャラクター
- マルレイン
- 美しい王女様。しかし王都がどこにあるのか、王女様以外の王都の人々がどんな風なのかなどは、誰も知らない。
- ニセ魔王の1人に囚われ、それをルカ達が助ける事になるが、途中スタンが王女を洗脳するという計画を立てる。そして助けた後、洗脳術をかける為にルカを王女に無理矢理抱きつかせるがスタンが魂を持つ者なら必ずかかると豪語する洗脳術は、何故か王女には効かなかった。
- その後ルカに「責任を取れ」と言い、家出をしてルカの家に辿り着く。ルカを召使いとすると宣言、旅に同行する事に。
- ワガママで気が強く世間知らずだが、仲良くなったルカの母のために苦心するなど、可愛い面も。ルカを慕っている。
- 旅の同行はするが、戦闘には加わらない。余談だが、彼女のビンタは最初のフィールド『ウィルクの森』周辺のオバケを一撃で葬れる威力は確実に秘めている。
- ベーロン
- マルレインの侍従長。マルレインと二人だけで世界中を旅している。
- 王女に忠誠を誓い、いつも従順に彼女の側についている。
- 得体の知れない雰囲気があり、ルカのことを気にするように見つめてくる。
- 王女が家出をし行方知れずになってからは、姿を見せずにいるが…。
- ジェームス
- スタンの忠実な(?)執事。立派な双角を生やした燕尾服の魔族。特技はスタン限定の太鼓持ち。
- いつでもどんな時でも、スタンに呼ばれればどこからともなく現れ、大して役に立たずに風の如く去ってゆく。
- 現れ方が雷と共に出現したり空から降ってきたり転がってきたりと、毎回違ったりする謎多き存在。そして気がつけばルカの母など、色んな女性を口説いている。幼女から熟女まで、ストライクゾーンは限りなく広い。
- 執事暗黒拳という伝説の拳法を会得しているが(自称)、作中でそれと確認出来る技は一つだけ。ちなみに仲間には加わらない。
- ある時は闇のサンタさんを名乗ってアイテムをプレゼントしたり、怪しいが能力底上げ効果のある薬を調合したりと無能ではない様子。
- ブロック
- 移動サーカスの団長だが移動時に毎回置いていかれると言う影の薄い中年。
- その正体はニセ魔王の一人、サーカス魔王。しかしゲーム開始時点で既に魔王を辞退している。
- エプロスと同じく世界の裏事情を知る一人だが、彼とは違い世の理不尽を割り切っている感がある。それでもルカの行く先々でキーアイテムや助言を贈るのは、エプロス同様に何か希望を見出しているからだろうか。
- ルカの家族
- 他多数
- ナレーション (声:坂東尚樹)