ポール・オースター
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ポール・オースター(Paul Auster、1947年2月3日-)は、アメリカの小説家、詩人。ユダヤ系アメリカ人。
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[編集] 略歴
ニュージャージー州ニューアーク生まれ。12歳の時に叔父から預かったダンボールいっぱいの本を読み耽り(このエピソードは『ムーン・パレス』の中に登場する)、以後、文学に興味を覚える。1970年に コロンビア大学大学院修了後、石油タンカーの乗組員としてメキシコに移る。その後、過去に幾度か訪れていたフランスに移り住んだ。フランスにて農業等いろいろな仕事をしたが金銭を使い果たしたため1974年にアメリカに戻る。帰国後、大学時代から交際していたリディアと結婚し、彼自身の詩、エッセイ、小説やフランスの作家たち (マラルメ やジョセフ・ジュベールなど)の翻訳を出版した。
彼の小説家としての第一作は、Squeeze Play と呼ばれる推理小説で、ポール・ベンジャミン(Paul Benjamin ベンジャミンは彼のミドルネーム)の筆名で出版された。この頃から息子ダニエルが生まれたために買った一軒家や生活費の問題など経済的な問題などからリディアとの関係が崩壊する。
1979年、父が死去し、莫大な遺産が手に入る。その遺産のために創作活動に専念することができた。1982年にオースター名義での処女作である「孤独の発明」を出版。この孤独の発明は父の死を契機とする父とのこと、そして自身のことを述べた自伝的小説(またはエッセイ)になっている。また、この頃にシリ・ハストヴェットに出会い結婚する。
1987年に発表した「ニューヨーク三部作(シティ・オブ・グラス、幽霊たち、鍵のかかった部屋)」といわれるニューヨークを舞台にした一連の作品で大きく評価される。 これらの作品は、謎とそれを解く手がかりとで構成された従来の推理小説とは違い、アイデンティティに関わる疑問を書き記すために、ポストモダン的な形式を特徴とする、彼独特の形式が用いられている。
アイデンティティや生きる意味を探すことは、その後の彼の作品を通じて重要なテーマとなっている。
オースターはまた映画という手法にも興味を持ち、1990年には、ニューヨーク・タイムズに掲載した「オーギー・レンのクリスマスストーリー」を映画監督ウェイン・ワンが読み、即座にオースターと連絡を取って映画化の話を進める。オースターもウェイン・ワンと親交を深め映画「スモーク」(1995年発表)の脚本を書き下ろした。また脚本だけでなく配役もオースター自身が選び、ハーヴェイ・カイテルやフォレスト・ウィテカーなどを選んだ。
「スモーク」を取り終えた頃、余ったフィルムでなにか出来ないかと考え出して撮られたのが映画「ブルー・イン・ザ・フェイス」(1995年発表)である。これには「スモーク」で登場したハーヴェイはもとより数多くの俳優が集まった。その中にはルー・リード、マイケル・J・フォックス、マドンナなどがいる。即興で作られたため6日間で撮り終えた。オースターはこの作品の脚本及び副監督を務めた。
1998年、自身初の監督作品「ルル・オン・ザ・ブリッジ」を発表する。元々は監督をヴィム・ヴェンダースに依頼していたがヴィムの都合により自身が監督を務めることとなり、再びハーヴェイ・カイテルとミラ・ソルヴィノ(ブルー・イン・ザ・フェイスにて共演)をキャスティングする。
現在、妻シリ・ハストヴェットと二人の子供と共にブルックリンに住んで創作活動を続けている。
[編集] 評価
映画、小説共に彼の作品はニューヨーク、特にブルックリンを土台にしている。彼の作品が日本で多くのファンを持つ理由として柴田元幸の翻訳が彼の作品にマッチしたことと、同じく都市部を土台にしている村上春樹の影響があると言われている。
[編集] 主な作品
[編集] 小説
- ニューヨーク三部作(The New York Trilogy 1987)
- シティ・オブ・グラス(City of Glass 1985)
- 幽霊たち(Ghosts 1986)
- 鍵のかかった部屋(The Locked Room 1987)
- 最後の物たちの国で(In The Country of Last Things 1987)
- ムーン・パレス(Moon Palace 1989)
- 偶然の音楽(The Music of Chance 1990)
- リヴァイアサン(Leviathan 1992)
- ミスター・ヴァーティゴ(Mr Vertigo 1994)
- オーギーレンのクリスマスストーリー(Auggie Wren's Christmas Story 1990)
- ティンブクトゥ(Timbuktu 1999)
- The Book of Illusions 2002
- Oracle Night 2003
[編集] 詩集
- Ground Work 1990
- 消失Disappearances: Selected Poems
[編集] 映画
- スモーク(Smoke 1995)
- ブルー・イン・ザ・フェイス(Blue in the Face 1995)
- ルル・オン・ザ・ブリッジ(Lulu On The Bridge 1998)
[編集] エッセイ・自叙伝
- 空腹の技法(The Art of Hunger 1982)
- The Red Notebook
- 孤独の発明(The Invention of Solitude 1982)
- その日暮らし(Hand To Mouth 1997)
- トゥルー・ストーリーズ(2004)
[編集] 編集
- True Tales of American Life 2001
- ナショナル・ストーリー・プロジェクト I Thought My Father was God 2001
[編集] その他
- わがタイプライターの物語(The Story of My Typewiter 2002)
[編集] 映画化作品
- ミュージック・オブ・チャンス(1993)
- 偶然の音楽を映画化。オースターも端役で出演。
[編集] 関連リンク
- Paul Auster (The Definitive Website) ポール・オースターファンサイト。FAQやニュースなどがある(英語)
- Spanish Blog
カテゴリ: アメリカ合衆国の小説家 | アメリカ合衆国の詩人 | ニュージャージー州の人物 | 1947年生