マイケル・コナリー
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マイクル・コナリー(Michael Connelly、1956年7月21日-)は、フィラデルフィア出身のアメリカの探偵・犯罪小説家である。日本ではハードボイルド派小説家に分類されることが多い。
1980年、フロリダ大学でジャ-ナリズムを専攻として卒業するが、その専攻のきっかけは、在学中にレイモンド・チャンドラーの小説に出会い、作家となる決意をした為という。卒業後は、フロリダで新聞記者となり、複数の新聞において、主として警察及び犯罪事件を担当する。当時、南フロリダ地区は、いわゆる「コカイン戦争」の真っ只中であり、コナリーはその犯罪と警察について記事を書き続けた。 1986年、コナリーは他の記者2名とともに、ある大規模航空機事故よりの生還者達に数ヶ月に亘るインタビューを敢行。後に、このレポートは雑誌へと発表され、また、ピューリツァー賞候補にも推された。この報道により、コナリーはジャーナリストとしての地位を高め、ロサンゼルス・タイムス社の犯罪担当記者となり、大学生時代に憧れたチャンドラーが描いた街に赴くこととなった。 ロサンゼルスで3年間の犯罪記者経験の後、ロサンゼルス警察(LAPD)の刑事ヒエロニムス(ハリー)・ボッシュを主人公とした小説を書き始める。 1992年、シリーズ第1作となる「The Black Echo」(邦題「ナイトホークス」)を発表。実際にロサンゼルスで起きた事件を一部に題材として描いた本作は、同年度、アメリカ探偵作家クラブ(Mystery Writers of America、MWA)のエドガー賞(The Edgar Award)処女長編賞を獲得した。 コナリーの小説は、現在までに31ケ国で翻訳されている。 2003-2004年には、アメリカ探偵作家クラブ(MWA)の会長務めた。現在は、家族と共に、フロリダ在住。
マイクル・コナリー愛読者の多くは、以下の作品群を出来る限りその出版順に読破したほうが良い、との意見を持っている。その理由は、(1)作品群全般を貫く深い人物造詣や心理描写と複雑かつスリリングなプロット展開が、過去作品から段階的・派生的に絡み合っているからであり、(2)また主人公ハリー・ボッシュが、自身の不幸な生い立ちやベトナム従軍体験、警察組織内での孤立などを克服しつつ難事件を解決することによって、アイデンティティの確立を果たしていく、という本シリーズを貫くテーマを追う為でもある。更に、(3)主たる作品群であるハリー・ボッシユ・シリーズ作品での登場人物(例えばテリー・マッケイレブもその一人である)が、非ボッシュ・シリーズが他作品群の主人公となる、いわゆる「スピン・オフ」する例が度々ある為、非ボッシュ・シリーズも含めて発表年を追わないと、探偵小説としての興を著しくそがれる場合がある。特に注意したいのは、ボッシュ・シリーズ第10作「The Narrows」(邦題「天使と罪の街」)を読む以前に、前篇にあたる「The Poet」を読了しておくほうがよく、望ましくは、テリー・マッケイレブの登場する「Blood Work」と「A Darkness More Than Night」も読んでおきたい。
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[編集] 作品リスト
[編集] ハリー・ボッシュ・シリーズ
- 「The Black Echo」(1992) 邦題「ナイトホークス」
- 「The Black Ice」(1993) 邦題「ブラック・アイス」
- 「The Concrete Blonde」(1994) 邦題「ブラック・ハート」
- 「The Last Coyote」(1995) 邦題「ラスト・コヨーテ」
- 「Trunk Music」(1997) 邦題「トランク・ミュージック」
- 「Angels Flight」(1999) 旧邦題「堕天使は地獄へ飛ぶ」 新邦題「エンジェルズ・フライト」
- 「A Darkness More Than Night」(2001) 邦題「夜より暗き闇」
- 「City of Bones」(2002) 邦題「シティ・オブ・ボーンズ」
- 「Lost Light」(2003) 邦題「暗く聖なる夜」
- 「The Narrows」(2004) 邦題「天使と罪の街」
- 「The Closers」(2005)
- 「Echo Park」(2006)
- 「The Overlook」(2007年5月刊行予定)
[編集] テリー・マッケイレブ・シリーズ
- 「Blood Work」(1998) 邦題「わが心臓の痛み」
- 「A Darkness More Than Night」(2001) 邦題「夜より暗き闇」
[編集] その他
- 「The Poet」(1996) 邦題「ザ・ポエット」
- 「Void Moon」(2000) 邦題「バッドラック・ムーン」
- 「Chasing The Dime」(2002) 邦題「チェイシング・リリー」
- 「The Lincoln Lawyer」(2005)
[編集] ノン・フィクション
- 「Crime Beat」(2006)
尚、上述のデビュー作「The Black Echo」でのエドガー賞新人賞のほかに、次の各賞に賞せられている。
「The Poet」により、1997年度アンソニー賞(Anthony Award Best Novel Winner)並びに同年度ネロ・ウルフ賞(Nero Wolfe Awards)。 「Blood Work」により、1999年度アンソニー賞(Anthony Award Best Novel Winner)並びに同年度マカビィティ賞(Macavity Awards Best Novel Winner)。 「City of Bones」により、2003年度アンソニー賞(Anthony Award Best Novel Winner)。
[編集] 映画化
元FBI心理分析官テリー・マッケイレブを主人公とする「Blood Work」は、2002年、クリント・イーストウッドの製作・監督・主演により、映画化(配給ワーナー)されている。
[編集] 外部リンク
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