マイティジャック
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『マイティジャック』 (Mighty Jack、通称:MJ(番組内ではM.J.と表記)) は、1968年(昭和43年)4月6日から1968年(昭和43年)6月29日までフジテレビの毎週土曜日20:00 - 20:56に全13話が放映された、円谷プロ製作の日本のSF特撮テレビ番組。万能戦艦マイティ号に乗り込み、悪の組織Qの野望を打ち砕く、秘密組織"MJ"( = マイティジャック)の隊員たちの活躍を描く。
一度LDボックスが発売された他は、長らく再放送や映像ソフト化の機会に恵まれず知る人ぞ知る作品だったが、1997年のCS放送(キッズステーション)での再放送以降、2004年には食玩が発売されるなど、再評価されつつある。DVDも2006年1月に「DVD マイティジャック」、同3月に「DVD 戦え! マイティジャック」が発売された。
精巧なミニチュアセットや迫力在る特撮シーンなどで、同時期に製作されたウルトラセブンとともに円谷プロ製作の特撮ドラマの最高傑作と評されることも多い。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] 概要
[編集] 『マイティジャック』
『マイティジャック』は大人の視聴者層を狙った日本初の特撮1時間ドラマで、番組枠もゴールデンタイム、制作費も1000万円を越えていた円谷プロの意欲作であった。当初は長期放送を目指して企画されたが、現代社会の「防衛」「建設」「救助」を目的とするMJの設定を生かせず、放送内容に関してテレビ局側と意見が合わず、また視聴率も低迷したため、13話で放映が打ち切りとなった。
[編集] 『戦え! マイティジャック』
『マイティジャック』打ち切り後、子供向けの30分番組に路線変更された『戦え! マイティジャック』が1968年7月6日から12月28日まで放映された。マイティ号や敵組織Qの存在等の基本設定は変わらないものの、マイティジャックの位置付けを企業コンツェルンの私兵から国際機関「アップル」の下部組織に変更し、キャストやメカも一部入替えており、実質的には別の作品である。放映は毎週土曜日19:00 - 19:30であったが、裏番組が『巨人の星』だった事もあって1クール目の視聴率は回復せず、2クール目からは怪獣ものに再度路線変更したが視聴率は回復せず、26話で放映は打ち切られた。配役や番組のスタイルに『忍者部隊月光』の影響がある。
[編集] 登場するメカ
万能戦艦マイティ号(通称:MJ号)は近代科学の粋を凝らして建造された飛行、潜水可能な巨大戦艦で、艦内にはピブリダー(超小型戦闘機)、コンクルーダー(水陸両用多目的戦闘機)、エキゾスカウト(水陸両用偵察機)、ハイドロジェットV(小型潜水艇)、バギー(小型ヘリ)、バンカーH(中型ヘリ)、シプリー(警備艇)などが搭載され、大半はマイティ号艦内で組み立てられた後、発進する。対する悪の組織「Q」の保有する巨大戦艦ホエール、レイブン、ジャンボーや、スワロー(小型戦闘機)、フライング・スカイラル(中型戦闘機)などとマイティ号がメカ戦を繰り広げる展開が多かった。
[編集] 登場人物
[編集] マイティジャック
- 当八郎(あたり はちろう、二谷英明):マイティジャックの隊長。アマチュア登山家で地図に関しては世界的権威。普段は銀座の地図屋兼喫茶店「ガリレー」(「ガリレイ」の表記も見られる)マスター。
- 桂めぐみ(かつら めぐみ、久保菜穂子):マイティジャックの諜報部員。創設者、矢吹郷之助の元秘書。普段は銀座のクラブ「J」のママ。
- 天田一平(あまだ いっぺい、南廣):マイティジャックの副長。気象学の権威で、普段はプロゴルファー。
- 英健(はなぶさ たけし、春日章良):パイロットの一人。世界的外科医で、普段はオンボロ三等貨客船の船医。
- 村上譲(むらかみ ゆずる、天本英世):マイティジャックの科学者。火薬爆薬の専門家であり、化学の世界的権威。普段は花火屋の主人。
- 源田明(げんだ あきら、二瓶正也):パイロットの一人。普段はフリーのテストパイロットやスカイダイバーのインストラクターをしている。
- 一条マリ(いちじょう まり、池田和歌子):パイロットの一人。26ヶ国語の会話が可能。普段は「ガリレー」の助手
- 寺川進(てらかわ すすむ、井上紀明):パイロットの一人。普段は大学院の研究室助手(電子工学専攻)。
- 玉木英雄(たまき ひでお、田中淑隆):マイティ号のパイロット兼通信士。普段は大学生。11話にて殉職。
- 服部六助(はっとり ろくすけ、福岡正剛):マイティ号の動力担当機関員。普段は自動車修理工場の修理工。
- 富井満(とみい みつる、大屋満):マイティ号の機関士。普段は花屋の主人。11話にて殉職。
- 川上登(かわかみ のぼる、睦五郎):地上活動専門。11話より登場。
- 弓田エマ(ゆみだ えま、真理アンヌ):マイティジャックの諜報部員。11話より登場。
- 矢吹郷之助(やぶき ごうのすけ、柳永二郎):矢吹コンツェルン総帥でマイティジャックの創設者。
- オープニング&次回予告ナレーション:中江真司
[編集] 戦え! マイティジャック
- 天田一平(南廣):引き続いての登場。隊長に昇格。
- 源田明(二瓶正也):引き続き登場。副隊長格に。
- 今井進(いまい すすむ、山口暁):航空工学の専門家。
- 小川喜助(おがわ きすけ、渚健二):電子工学の専門家。
- 江村奈美(えむら なみ、江村奈美):火薬・爆発物の専門家。役名を芸名にした。本作への出演を契機に後に渚健二と結婚。
- 船木一郎(ふなき いちろう、片岡光雄):最終回で殉職した小川の後任として登場。
- 清水光夫(しみず みつお、寺尾信義):船木と共に小川の後任として登場。
- ゼネラル藤井(ぜねらる ふじい、宇佐美淳也):アップル日本支部の総責任者。
[編集] スタッフ
- 監修:円谷英二
- プロデューサー:守田康司、伊藤康祐(フジテレビ)
- 監督:満田かずほ、野長瀬三摩地、柳瀬観、小林恒夫、堀内真直
- 脚本:関沢新一、若槻文三、池田一朗、柴英三郎、山田正弘、金城哲夫、他
- 特技監督:大木淳、佐川和夫、有川貞昌
- 撮影:森喜弘、鈴木斌(本編)、中町武(特撮)
- 照明:山口偉治、長洞利和(本編)、小林和夫(特撮)
- 美術:深田達郎、鈴木儀雄(本編)、成田亨(特撮)
- 音楽:冨田勲(『戦え!』のための追加分は宮内國郎)
- 編集:小倉昭夫
- 光学撮影:中野稔
- 製作:フジテレビ、円谷プロ
[編集] 放映リスト
[編集] マイティジャック
フジテレビ 毎週土曜日20:00 - 20:56放送。全13話。
放映日 | 話数 | サブタイトル | 登場メカ |
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1968年4月6日 | 1 | パリに消えた男 |
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1968年4月13日 | 2 | K52を奪回せよ |
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1968年4月20日 | 3 | 燃えるバラ |
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1968年4月27日 | 4 | 祖国よ永遠なれ!! |
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1968年5月4日 | 5 | メスと口紅 |
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1968年5月11日 | 6 | 熱い氷 |
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1968年5月18日 | 7 | 月を見るな! |
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1968年5月25日 | 8 | 戦慄のオーロラ |
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1968年6月1日 | 9 | 地獄への案内者 |
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1968年6月8日 | 10 | 爆破指令 |
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1968年6月15日 | 11 | 燃える黄金 |
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1968年6月22日 | 12 | 大都会の恐怖 |
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1968年6月29日 | 13 | 怪飛行船作戦 |
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[編集] 戦え! マイティジャック
フジテレビ 毎週土曜日19:00 - 19:30放送。全26話。
放映日 | 話数 | サブタイトル | 登場メカ、組織、怪獣など |
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1968年7月6日 | 1 | かかった罠はぶっ飛ばせ! |
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1968年7月13日 | 2 | ミニミニ島を爆破せよ |
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1968年7月20日 | 3 | 悪魔の海に飛んでいけ! |
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1968年7月27日 | 4 | とられたものはとりかえせ! |
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1968年8月3日 | 5 | マリアの像を追いかけろ! |
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1968年8月10日 | 6 | マイティ号でぶちかませ! |
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1968年8月17日 | 7 | 来るなら来てみろ! |
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1968年8月24日 | 8 | 地獄へ行って笑え! |
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1968年8月31日 | 9 | 地底の悪魔をたたきだせ! |
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1968年9月7日 | 10 | 消えた王女の謎をとけ! |
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1968年9月14日 | 11 | 甘い爆弾にくらいつけ! |
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1968年9月21日 | 12 | マイティ号を取り返せ! (前編) |
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1968年9月28日 | 13 | マイティ号を取り返せ! (後編) |
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1968年10月5日 | 14 | 炎の海を乗り越えろ! |
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1968年10月12日 | 15 | 死人の館に突進せよ! |
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1968年10月19日 | 16 | 来訪者を守りぬけ! |
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1968年10月26日 | 17 | 逃げたぞそれ行けつかまえろ! |
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1968年11月2日 | 18 | 水爆恐竜をやっつけろ! |
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1968年11月9日 | 19 | くいとめろ! 人間植物園 |
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1968年11月16日 | 20 | 宇宙忍者をあばきだせ! |
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1968年11月23日 | 21 | 亡霊の仮面をはぎとれ! |
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1968年11月30日 | 22 | 東京タワーに白旗をあげろ! |
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1968年12月7日 | 23 | 殺し屋レディをマークしろ! |
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1968年12月14日 | 24 | ハプニング島へ進路をとれ! |
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1968年12月21日 | 25 | 希望の空へ飛んで行け! (前編) |
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1968年12月28日 | 26 | 希望の空へ飛んで行け! (後編) |
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[編集] 漫画
- テレビ放送に合わせて横山まさみち(週刊少年サンデー)と、森藤よしひろ(少年ブック)による漫画連載も行われている。
- 『マイティジャック THE SHADOW FORCE』(KADOKAWA COMICS 特撮A、著:熊谷カズヒロ、円谷プロダクション、2005年)
[編集] 備考
- マイティ号をはじめ、Q側装備も含めた各種メカは特撮美術の成田亨がデザインを担当。三角形を組み合わせたシャープな印象の MJ のマークも彼の手によるものである。(因みに、このMJマークはその後、円谷プロダクションの社章のモチーフとなった)
フジテレビ系 土曜20時台 | ||
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前番組 | マイティジャック | 次番組 |
テレビグランドスペシャル | コント55号の世界は笑う! | |
フジテレビ系 土曜19時台前半 | ||
あかねちゃん | 戦え! マイティジャック | バンパイヤ ※木曜19:00から移動 |
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