ミズバショウ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
?ミズバショウ | ||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
![]() 札幌市南部の湿原で(2004年4月) |
||||||||||||||||
分類(APG植物分類体系) | ||||||||||||||||
|
||||||||||||||||
学名 | ||||||||||||||||
Lysichiton camtschatcense Schott | ||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||
ミズバショウ | ||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||
Asian skunk cabbage |
ミズバショウ(水芭蕉 Lysichiton camtschatcense)は,サトイモ科の多年草本。
湿地に自生し発芽直後の葉間中央から純白の仏炎苞(ぶつえんほう)と呼ばれる苞を開く。これが花に見えるが仏炎苞は葉の変形したものである。仏炎苞の中央にある円柱状の部分が小さな花が多数集まった花序(かじょ)である。開花時期は低地では4月から5月、高地では融雪後の5月-7月にかけて。
葉などの汁にはシュウ酸カルシウムが含まれ、肌に付くとかゆみや水ぶくれを起こすことがある。
根茎はかつて腎臓病や便秘などの民間薬として利用されたこともあるが、薬効についての根拠はなく、逆にアルカロイドが含まれているため、服用すると吐き気や脈拍の低下、ひどい時には呼吸困難や心臓麻痺を引き起こす危険があり、絶対に行ってはならない。
[編集] 群落
尾瀬沼・北海道網走湖畔(大空町・網走市)・奥裾花(長野市)の群落が有名。なお江間章子作詞、中田喜直作曲の「夏の思い出」で歌われているが、実際に尾瀬沼でミズバショウが咲くのは5月末ごろ、これは尾瀬の季節でいうと春先にあたる。
日本国内での分布は、北海道・東北・北陸・中部(高地)など。南限は兵庫県養父市の加保坂峠。日本国外ではロシアの沿海州からシベリア東部にかけて。学名の種小名は「カムチャツカ半島」に由来する。
[編集] 開花様式
1つの肉質の花序(肉穂花序)には数十から数百の小花があり、それらすべてが雄蕊(ゆうずい)と雌蕊(しずい)を持つ両性花である。仏炎苞が開いた時点で、多くの小花は雌蕊が露出しており受粉可能である。雄蕊は花序の表面には現れていない。開花の後数日すると、花序の表面を押し上げるようにして雄蕊が出現し、多くの花粉を放出する。この際、自花受粉することがある。その後は雄蕊からの花粉の放出が続く。このように、最初は雌蕊だけが機能し、やがて雄蕊が機能を始めるという開花システムを「雌性先熟」と呼び、イネ科などの風媒花によく見られる。