ミップス・テクノロジーズ
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ミップス・テクノロジーズ(MIPS Technologies Inc)はCPU開発メーカーの一つである。スタンフォード大学のジョン・ヘネシー教授を中心として行なわれていたRISCアーキテクチャの研究成果を商業化したベンチャ企業。「MIPS」の名はもともとスタンフォード大学で研究していたRISCアーキテクチャ「パイプラインステージがインターロックしないマイクロプロセサ」の頭文字をとってつけられた。
自社では設計のみ行い、LSIメーカーにライセンスするビジネスモデルを持つ。ライセンシーとしては、東芝、NEC、SCE、フィリップス、LSIロジックなど多数のメーカーがある。単独のCPUだけでなく、MIPSアーキテクチャのCPUコアを組み込んだシステムLSIを製造しているメーカーも多い。
設立当初は「Rシリーズ」がUNIXワークステーションやグラフィクスワークステーションで広く用いられ、Windows NT(Ver.4まで)のターゲットCPUのひとつでもあったが、最近では組み込み用CPUアーキテクチャとしての市場に注力している。Windows CE機用として省電力タイプの「Rシリーズ」が広く用いられたほか、ゲーム専用機(ニンテンドウ64、プレイステーション、プレイステーション2)での採用例も多い。
MIPSアーキテクチャは最も典型的なRISC型CPUであるといわれている。
[編集] 歴史
設立当初の社名はミップス・コンピュータシステムズ(MIPS Computer Systems, Inc.)であった。R2000やR3000で成功すると、経営陣は半導体設計企業からコンピュータ企業への脱皮を図った。しかし、大企業と対等に渡り合えるほどの資金力がなく、チップとシステム両方の開発費の捻出に頭を悩ませていた。今後のMIPSアーキテクチャのマイクロプロセッサ(特に直近のR4000)が確実に開発されることを保障するために、SGI社は1992年に同社を買収し、子会社のミップス・テクノロジーズ社とした。
SGI社が1990年代中頃にItaniumアーキテクチャへの移行を決定すると、ミップス・テクノロジーズ社はスピンアウトされ、MIPSアーキテクチャの知的資産のライセンス会社(兼、プロセッサコアの設計企業)となった。1998年6月にはIPOを行い、SGI社は保有株を2000年ごろに市場で売ってしまったので、現在ではSGIの完全子会社ではない。
[編集] 沿革
- 1981年: スタンフォード大学のジョン・ヘネシー率いるチームが MIPS RISC アーキテクチャプロジェクトを開始。
- 1984年: ジョン・ヘネシー、Robert Wall、John Moussourisによってミップス・コンピュータシステムズが設立される。
- 1989年: ミップス・コンピュータシステムズとして最初の株式公開(IPO)。
- 1992年: SGI社に買収される。いったんSGI本体に吸収された後、ミップス・テクノロジーズと改称(SGIの100%子会社)。
- 1998年: ミップス・テクノロジーズとして再度、ナスダックに株式公開(IPO)。
[編集] 外部リンク
カテゴリ: 半導体企業 | アメリカ合衆国の企業