メカトロニクス
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メカトロニクス(Mechatronics)とは、機械装置に電子工学的知見を融合させることによって、新たな価値を求めようとする学問・技術分野をさす。
メカトロニクスは、昭和44年(1969年)に安川電機の技術者であった森徹郎によって発表された言葉で、機械工学(Mechanics)と電子工学(Electronics)を合わせた和製英語である。 昭和47年(1972年)に安川電機の商標として登録された。その後、この言葉は広く広まり、近年は外国でも通じるようになった。
従来、機械製品に複雑な動作をさせるには、リンク機構やカム、歯車など多くの機構部品を組み合わせる必要があった。 このような製品は、大型・高価になりやすく、複雑で組み立てにくいものとなっていた。
そこで、制御の部分を電子回路化し、センサやアクチュエータと組み合わせることによって、複雑な動作を簡単に実現したり、機械要素の組み合わせだけでは実現できないような機能を持たせることが可能になる。 今日では制御にマイクロプロセッサ(マイコン)を用いることによって、自動化や適応制御など、より豊富で便利な機能を実現している。 また、同一の機構であっても、電子回路やマイコンプログラム(ファームウェア)の変更で、仕様の変更や追加を容易に対応できる利点ももつ。
以上のような特長により、従来機械産業とされてきた、時計、カメラ、自動車、工作機械など、ほとんどの分野でメカトロニクス化が進んできている。 また、ロボット、ハードディスク、CDプレーヤーなどメカトロニクスにより、はじめて成り立つ分野も数多くある。