モニター艦
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モニター艦(モニターかん)とは、比較的小型の艦体に戦艦級の艦砲を搭載した軍艦である。対水上戦闘用ではなく、制空権・制海権を確保した海域にて対地攻撃を行うことが主任務であるため、装甲は薄く低速である。
アメリカの南北戦争において北軍がモニター(USS Monitor)級を、南軍の生命線である水路の封鎖と対地攻撃に用いた(→ハンプトンローズ海戦)事から、この呼称となった。第一次世界大戦の頃まではいわば移動砲台として利用されたが、軍用機の急速な発達にともない先に記した弱点が露呈していき、次第に衰退した。ただし、第二次世界大戦でもイギリス海軍では少数のモニターが使用されたほか、アメリカ軍の旧式戦艦(ニュージャージー等)はベトナム戦争等においてモニター的な存在として使用された。
なお、砲艦(砲艇)の場合でも火力重視の場合にはモニターと称する場合がある。ベトナム戦争では河川において揚陸艇を改造して迫撃砲や戦車砲を搭載した重武装の砲艇をモニターと呼ぶ。これらは、メコン川などの流域にあるゲリラの拠点に対しての対地攻撃に用いられた。