モーション・コントロール・カメラ
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モーション・コントロール・カメラ は、主としてSFXなどに使われる合成素材を撮影するために使われる特殊な映画用カメラ、あるいはそのシステムの総称。
モーション・コントロール・カメラは、数値制御装置の一種で、コンピュータでステッピングモーターを動かし、カメラの位置を決めて撮影を行う。形態は、撮影目的によってさまざまであり、たいていはその都度、要求に応じて部品から組み立てて使われる。クレーン(長いアームの先にカメラを取り付け、アームの角度やカメラの角度などを制御する)・移動車(レールに沿ってカメラが動き、その移動位置やカメラの角度などを制御する)などがある。また、カメラの側ではなく被写体の側の動きを制御することや、カメラと被写体の両方を制御することなども含まれる。
モーション・コントロール・カメラによる撮影では、動きに再現性があるため、精密な合成素材を得ることができる。たとえば、ぴったり一致する「宇宙船」と「宇宙船の輪郭を切り出したマスク」を得るなどのことが可能となる。そのため、モーション・コントロール・カメラの導入によって合成を前提とした映像作品のクォリティが格段にあがった。
なお、当初のモーション・コントロール・カメラは、ひとコマごとに撮影位置を決めて撮影するというスタイルのものであった。これは、被写体ブレが生じないためやや不自然な映像となってしまう。そのため、その後「位置を制御する」ことから発展して「動きを制御する」こともできる「ゴー・モーション」と呼ばれるタイプのものが開発された。