ステッピングモーター
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ステッピングモーター(Stepper motor)は、パルス電力に同期して動作する同期電動機である。したがってパルスモーター(Pulse motor)とも言われる。簡単な回路構成で、正確な位置決め制御を実現できるので、装置の位置決めを行なう場合などによく使われる。
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[編集] 特徴
- 運動量が駆動パルスの数に比例する。
- デジタル制御回路との相性が良い。
- フィードバック回路の必要性がない。
- エネルギーの効率が悪い。
- 負荷が大きすぎたり、パルス周波数が高すぎると同期外れで制御が乱れる。
- この状態を「脱調した」と称する。加減速シーケンスを用いると改善することがある
[編集] 回転子の種類
- Permanent Magnet Type (PM型:永久磁石形)
- 回転子として、円周上にNSNS…と交互に着磁した磁性体を使用する。安価であるが、着磁間隔を細かくすることに限界があるので、ステップ角度は小さくできない。
- Variable Reluctance Type (VR型:歯車状鉄心形)
- 回転子として、歯車状の鉄心を使用する。ステップ角度を小さくできるが、トルクがやや低い。
- Hybrid Type (HB型:複合形)
- PM型とVR型の特徴を併せ持った構造である。PM型の場合は円周方向に着磁するが、HB型では軸方向に着磁した磁石を使用し、磁極側を二枚の歯車状鉄心で挟み込む。この時、N極側とS極側の歯の凸凹が逆になるようにする。
[編集] 固定子の巻線構成
ステッピングモーターは、固定子に複数の巻線を用意しておき、電流を流す巻線を切り替えることによって動作させる。巻線構成としては二相(二組の巻線)のものが一般的であるが、三相、五相といったものもある。
[編集] ステッピングモーターの動作原理
二相HB型を例にとって、動作原理を説明する。
- 固定子・回転子双方に、同じピッチの歯が刻まれている。N極側の回転子に対して、S極になるような電流を固定子巻線の一つに与える。
- すると回転子側の歯の凸部と固定子側の凸部が互いに引き合って正対する位置に回転子が移動する。
- もう一つの巻線が巻かれた固定子の歯は、回転子の歯と1/2ずれた位置になっている。
- 従って電流を流す巻線を切り替えると、回転子の歯の1/2の角度だけ回転を行う。
- 今度は最初の巻線に対してN極となるような逆電流を与える。
- すると回転子側と固定子側が反発することによって、凸と凹が正対するようになる。
- また巻線を切り替えてN極となるような逆電流を与える。
- また1/2歯ずれて、凸と凹が正対する。
以上のように、電流を与える巻線と電流の方向を順番に切り替えることによって、一定の方向に回転する。
[編集] 励磁モード
ステッピングモーターは、巻線への電流の与え方を変えることにより、特性を変えることができる。二相型のモーターについて以下に述べる。
- 一相励磁
- 常に巻線一相のみに電流を流す。位置決め精度は良いが、減衰運動が残りやすい。
- 二相励磁
- 二相に電流を流す。一相励磁の約2倍の出力トルクが得られる。
- 一-二相励磁
- 一相と二相を交互に切り替えて電流を流す。一相励磁・二相励磁の場合のステップ角度の半分にすることができるので、滑らかな回転を得られる。
- マイクロステップ駆動(バーニア駆動)
- 巻線への電流を単純なON/OFFではなく、二つの巻線の電流比率を細かく変えていくことで、より細かいステップ角度を得る手法。
[編集] 運動形態
一般的な回転形のモーターの他に、直進形のモーター(リニアステッピング)も存在する。
[編集] 用途例
[編集] パチンコ・パチスロ・スロット
前述の特徴の通り、回転軸を指定された角度で停止させることが可能なことから、パチンコ、パチスロ機やスロットマシンのリールに使用されている。
パチンコ機においては、『フィーバーレクサスV』(SANKYO)で初めて採用された。以降のドラム型パチンコ機のほとんどに採用されているが、『CR熱血竜馬』(藤商事)のように、演出用としてドラムを持つパチンコ機など、一部ステッピングモーターを使用していない機種も存在する。
パチスロ機においては、初めて採用されたのは0号機の『パチスロパルサー』(山佐)、『アメリカーナ』(ユニバーサル販売)と諸説が分かれる。山佐パターンと呼ばれるテーブル制御による独特の大量リーチ目は、パルサーシリーズの定番となっている。出目決定用の基盤が制御装置に送るパルス符号よりこの機種名が付き、以後のブランド名となった。尚、通常時にリーチ目を狙っても停止角度が既に決まっているのでリーチ目は停止しない。
[編集] メータ
また、これらの特徴を活かして、自動車や二輪車の計器に使用される事があるが、これは正確さ等よりも演出を狙っての採用と言える。 例としてはスバル・インプレッサやスバル・レガシィ、スズキ・バンディット1200S等では、エンジン始動で電源を入れると、指針が一旦ピークを示して、0位置に戻る。