モーリス・ユトリロ
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モーリス・ユトリロ(Maurice Utrillo, 1883年12月25日 - 1955年11月5日)は、近代のフランスの画家。母は画家シュザンヌ・ヴァラドン 。
ユトリロは、エコール・ド・パリの画家のなかでは珍しくフランス人である。
ユトリロは母親が18歳の時の子供で、父親がいなかったため祖母に育てられた。ユトリロが7歳のときに、スペイン人ジャーナリストのミゲル・ユトリロが彼を認知したが、ユトリロは生涯この法律上の父に会うことはなかった。ユトリロの実父については諸説あり、わかっていない。ユトリロは、10代でアルコール中毒になり、治療のため、医師に勧められて絵を描き始めたことはよく知られている。
作品のほとんどは風景画、それも、小路、教会、運河などの身近なパリの風景を描いたものである。ありふれた街の風景を描きながら、その画面は不思議な詩情と静謐さに満ちている。特に、壁などの色に用いられた独特の白が印象的である。第二次世界大戦後まで余命を保つが、作品は、後に「白の時代」といわれる、アルコールに溺れていた初期のものの方が一般に評価が高い。
[編集] 代表作
- ラパン・アジル(1910年)(パリ、ポンピドゥー・センター)
- コタン小路(1911年)(パリ、ポンピドゥー・センター)
- パリのサント=マルグリート教会(1911年)(ドイツ、マンハイム市立美術館)
- ラヴィニャン街の眺め(1911-15年)(ニューヨーク、メトロポリタン美術館)
- サン=セヴランの聖堂(1912年)(ワシントン、ナショナル・ギャラリー)
- パリ郊外(1910年) (倉敷、大原美術館)
- ノルヴァン通(1910年) (名古屋、名古屋市美術館)
[編集] 参考文献
- 『25人の画家 第15巻ユトリロ』千足伸行編著、高階秀爾監修、講談社、1980年。