ヤンバルテナガコガネ
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?ヤンバルテナガコガネ | ||||||||||||||||
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分類 | ||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||
Cheirotonus jambar | ||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||
ヤンバルテナガコガネ | ||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||
Jambar long-armed beetle |
ヤンバルテナガコガネは沖縄本島北部に生息するテナガコガネの一種。珍しい昆虫として有名。
[編集] 生態
幼虫はイタジイなどの樹洞に腐植土が堆積したものを住処且つ餌とする。そのためそのような大木が生育に必要であり、原生林の残った山原(ヤンバル)と呼ばれる沖縄本島北部の、国頭村付近にしか生息していない。こうした生息場所はキツツキの一種であるノグチゲラが古木に掘った巣穴が放棄されたあとにケナガネズミなどが巣穴として再利用したりするなどいくつもの生物の関与によって生成される。ノグチゲラにしてもケナガネズミにしても、どちらも環境悪化によって絶滅が危惧されており、ヤンバルテナガコガネの生存を保証する生物的環境そのものが危機に瀕している。
成虫になるまで数年を要する。
前脚は非常に発達し、頸節の内側の棘は木に登るのに便利であるし、餌場や雌を争うときの武器ともなる。成虫は夏に発生し、秋には卵を産むが、1,20個程しか産まず、加えて孵化率も低い。
[編集] 発見と保護
それ以前から存在については薄々知られてはいた(羽だけが拾われたことがあるなど)ものの、正式な発見は1983年で、1984年に黒澤良彦によって記載された。体長は6cmを超えることもあり、カブトムシを抜いて日本最長の甲虫類となった。しかし発見した時には既に絶滅の危機が迫っており、1984年2月に天然記念物に指定されて採集は全面的に禁止、繁殖プログラムも計画されている。しかし、密猟が少ないながらも存在すること、さらには生息地周辺にはダム建設の計画もあり、依然絶滅が危ぶまれている。絶滅危惧I類。
この昆虫の発見が遅れたのには、ひとつにはその生息環境の特殊さ、それにハブと在日米軍の存在がある。つまり、その生息域が広く米軍演習地であり、しかもハブの生息地であった。立ち入り禁止ではないものの、気楽に侵入する気になる場所ではなく、なおかついるかどうかもわからない昆虫を探すために、大木の穴に手を突っ込むような真似は、ハブが怖くてとてもできない。しかしながら、一旦この昆虫が実在するとわかれば、そういう危険や恐怖を押しのけうるものらしく、チェーンソーでほこらを切り開き、中の腐葉土すべて掻き出してしまうものすらいるという。 ただし、このような密猟はデメリットが非常に大きいため、密猟の数自体は少ないとも言われるが、悪質な密猟は生息を危うくする。また、林道開発による森林の乾燥など、開発によって生息地ごと影響を受けることも懸念されている。