ライオンのたてがみ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
|
||||||||||||||
|
ライオンのたてがみ (The Adventure of the Lion's Mane、1927年)は、アーサー・コナン・ドイルのシャーロック・ホームズシリーズ作品の1つ。「ストランド・マガジン」1926年12月号、「リバティ・マガジン」1926年11月27日号初出。
「白面の兵士」とこの作品はホームズの1人称で書かれており、ジョン・H・ワトスンは登場しない。その理由は「白面の兵士」を参照。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] あらすじ
シャーロック・ホームズが探偵業を引退し、蜂と書物に囲まれた静かな生活を送っている。1907年7月末の暴風雨のあと、事件が向こうから飛び込んでくる形で発生する。
その朝、ホームズが懇意にしている、近くで学校を運営しているハロルド・スタックハースト氏と出会う。スタックハースト氏は近くの海岸へ泳ぎに行くところで、先にマクファーソン青年が行っているはずだと言った。海岸に行くと、マクファーソンがよろめきながら歩いて来て、ばったりと倒れてしまった。すでに死に瀕していたが、死の間際に「ライオンのたてがみ」という言葉を残す。彼の身体には、細い鞭か焼けた金網で打たれたようなみみず腫れの跡が残っていた。そこへスタックハースト氏の学校の数学教師のイアン・マードックが来たので、ホームズたちはマードック氏に警察を呼ぶように頼む。
ホームズは海岸にほかの人物がいないのを確認し、海岸にマクファーソンのタオルがまだ乾いたまま置いてあるのを見つける。マクファーソンは、水に入る前か、少なくとも身体をふく前に何者かにおそわれたのだとホームズは推理する。
その夕方、マクファーソンの恋人が家族と住む「ヘイブン」荘にホームズとスタックハーストは向かうが、そこでマードックと鉢合わせする。スタックハースト氏はマードックを問いつめるが、マードックは怒って学校を出て行くことになってしまう。ホームズはマクファーソンの恋人だった、モード・ベラミー嬢に話を聞く。ベラミー嬢とマクファーソンはすでに結婚を約束していて、今夜浜辺で会うことを約束していたという。また、ほかの男たちもベラミー嬢に思いを寄せていたことを認め、その中にマードックがいたことも認めた。
警察はマードックをマクファーソン殺しの容疑者として追及するが、ホームズは犯人はマードックでないという。そのとき、ホームズの家に、マードックが瀕死の状態でよろめきながら入ってきた。ブランデーと治療の甲斐あってなんとか持ち直したが、マクファーソンと同じように身体にはみみず腫れのあとがあったのだ。ホームズはバードル警部を連れて海岸へ行き、今回の事件の真犯人を見せる。
[編集] ライオンのたてがみ
この作品内で学名「サイアネア・カピラタ」とされるものは実在し(Lion's Mane jellyfish)、イギリス西岸から南西部、南部の海岸でよく見かけられ、最大のものでは幅約1.8メートル、足までを含めた体長は約60メートルにも及ぶとされ、刺されると激痛が走り、場合によっては病院で治療を受ける必要も出てくるとされる。 日本では、ユウレイクラゲと称される。