白面の兵士
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白面の兵士 (The Adventure of the Blanched Soldier、1927年)は、アーサー・コナン・ドイルのシャーロック・ホームズシリーズ作品の1つ。「ストランド・マガジン」1926年11月号、「リバティ・マガジン」1926年10月26日号初出。
この作品は、シャーロック・ホームズの一人称によって書かれ、ジョン・H・ワトスンは登場しない(あまりに何度もワトソンの物語の書き方を批判したので、ワトソンに“気に入らないなら自分で書いてみろよ”と怒られた。結局書き方はワトソンと同じである)。ホームズものの60の長短編の中で、このような形態になっているものは「白面の兵士」と「ライオンのたてがみ」の2作品のみである。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] あらすじ
ボーア戦争終結直後の1903年1月、ジェームズ・M・ドッド氏がホームズの元を訪れる。2年前、ボーア戦争の軍隊で親しい友人となったゴドフリー・エムズワーズが復員後音信不通となったという。ゴドフリーの父に所在を訊ねる手紙を送ったところ、息子は世界一周の旅に出ているという返事があっただけだ。
ドッドはゴドフリーの実家を訪れ、父から彼の所在を聞き出そうとするが、逆に怒りを買ってしまう。その夜、ドッドはゴドフリーの実家に宿を取ることになるのだが、窓の外に真っ白な顔をしたゴドフリーがいるのを見つけ、追いかけるが逃げられてしまう。翌日、ゴドフリーの姿を求めて屋敷の中を探し回ろうとするドッドだったが、ゴドフリーの父に見つかり、屋敷を追い出されてしまったという。
翌週、ホームズはドッド氏ともうひとりの連れ(ワトスンではない)とともにゴドフリーの屋敷に向かった。ゴドフリーが何らかの理由でかくまわれているのは間違いなく、ホームズはその理由を書いた手帳の切れ端をゴドフリーの父に渡し、父も負けを認めてゴドフリーとの再会が果たされたのだった。
[編集] らい病について
この物語ではゴドフリーがらい病に感染したのではないかという展開になっており、「らい病」という表現がそのまま用いられている。20世紀初頭の医学知識をもとに書かれているため、必ずしも正確な記述がなされているとはいえない。