ルーツロックレゲエ
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ルーツロックレゲエ(ルーツ・レゲエ、あるいは単にルーツとも呼ぶ)という言葉は、ジャマイカでスカとロックステディから発展したレゲエの1ジャンルである。シンガーソングライターのボブ・マーレィによってその言葉が世界的に有名になった。
ルーツロックレゲエの歌詞には、エチオピアの皇帝ハイレ・セラシエ1世を崇拝する宗教運動、ラスタファリズムの影響が現れている。政府当局や西洋社会からの圧迫への抵抗と、宗教的な忠誠が主要な歌詞のテーマになっており、「ジャー」という言葉は出現の頻度が高い。
ルーツロックレゲエは1970年代に隆盛を極め、ジョニー・クラーク、ホーレス・アンディ、バーリントン・レヴィ、リンカーン・トンプソンらの歌手とともに、リー・ペリー、キング・タビー、コクソン・ドッドらプロデューサー達が多くの楽曲を残した。同時に、彼らプロデューサーたちの実験的な精神と、ジャマイカでの録音技術の進歩とが相まって、数多くのダブの作品が生まれた。
とりわけ、ルーツ・レゲエ全盛の1970年代の量産体制の中では、スタジオミュージシャンのアイデアと演奏法は革新的だった。スライ・アンド・ロビー、ロッカーズ、アップセッターズ、ルーツラディックスらが、次々と新しいリズムパターン(リディムRiddimとも呼ぶ)を作っていった。
1980年代に入ると、ジャマイカではドラムマシンを使ったまったく新しいダンスホール・レゲエが主流になり、ルーツロックレゲエは急速に下火になる。しかしルーツロックレゲエは、ジャー・シャカなどイギリスに移住したジャマイカ人の中で生き残り、現在ではいわゆる「UKニュールーツ」として再び脚光を浴びている。