ワースト (漫画)
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『ワースト』は、小室孝太郎により、1969年に週刊少年ジャンプに連載されたSF漫画である。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] ストーリー
- 第一部
- 不良少年・鋭二は、ある日、本能的な危険を感じ、廃ビルの地下室に立て篭もる。そして長い雨が降り終わった後に外に出た彼が見たものは、死体しかない無人の街、そして人間の死体から誕生し、殺してもバラバラにしても再生する夜行性の「最悪の生き物」=ワースト(マン)たちだった。彼らと戦いながら、幼い腕白少年・卓(タク)、米軍兵士・ハリー、不良学生・遠崎ら生き残りを探し集めたエイジは、世界貿易センタービルを砦として立て篭もるが、逃げ込んできた子供を助けるために命を落とすのだった。
- 第二部
- 鋭二の遺志を受け継ぎ、ワーストの潰滅を誓った卓は、寸暇を惜しんで勉学に勤しみ、生存者たちの若きリーダーとなっていく。しかしただでさえ不死身の生命力を持つワーストたちは陸に、空に、水中に、環境に合わせて進化し、知能も発達していき、逆に人類のほうが追い詰められていく。さらに東京はかつての文明を失い、水源も失い、このままでは危険だと察した卓は、全員を引き連れて離島へ避難することを決断。年長者の遠崎ら大事な仲間の何人かを失いながら、卓たち生存者は船で東京を脱出する。
- 第三部
- 数十年後。すでに卓たちの世代は老人となっていたが、ワーストたちが地球を制圧している状況は変わらず、各国の生存者たちから寄せられたレポートにより、ワーストたちが人工的な集落を作るなど、着々と進化していることが報告されていた。そんな中、ワースト潰滅の研究のために家族を省みなかった卓に敵愾心を燃やす、孫の力(リキ)が、殺人を行い、死刑の代わりに東京の復興を命じられて、ワーストたちの蠢く日本の本土に送り込まれる。そこで力は伝染病に侵されているワーストたちを発見、それによってついに卓はワーストの弱点と潰滅方法を発見するが、その時地球は新たな氷河期=人類最大のワーストを迎えようとしていた。力が幼馴染の少女と服毒自殺をする中、卓は対ワースト用のウイルスを量産し、全世界に散布する。しかし両者の戦いが決着を迎える前に、全世界は雪と氷に覆われていくのだった。
[編集] 解説
小室孝太郎は手塚治虫の愛弟子であったせいか、本作で卓越した構成力と語り口の巧さを見せている。特に少年向けSF漫画としては人類とワーストの戦い数十年を3部構成で、しかもその都度主人公が変わるという、非常にユニークな構成をとっているのは興味深い。 特に小室の才気を感じさせるのが、人類とワーストの戦いが決着を見ないまま地球が氷河期に覆われ、20万年後の地球にどちらか正体のわからないシルエットの群れが陽光の下に姿を現すという、余韻のある謎めいた結末のつけ方であろう。
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