一般曹候補学生
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一般曹候補学生(いっぱんそうこうほがくせい)とは、陸海空自衛隊において、将来、曹(下士官)になるために訓練される候補生のことである。各自衛隊の教育隊や部隊で、中堅陸・海・空曹としての必要な技能や知識などの資質を修得するため、防衛法制等の学習、戦闘訓練・武器訓練等の各種技術教育を行い、体育などにより体力の向上を図ることも一つの目標になっている。
それまで、幹部自衛官を除く一般的な自衛官の募集は、任期制隊員たる2士の採用しかなく、任期制隊員として2士・1士・士長を経て、3曹へ昇任していた。そこで、当初から曹候補者を非任期制隊員として採用する一般曹候補学生制度が、昭和50年に発足した。なお、一般曹候補学生と異なり、3曹への昇任が自動的ではなく選抜による曹候補士制度が平成2年に発足している。
採用時は2士であるが順次昇任してゆき、約2年間の教育期間を終了すると3曹に昇任することができる。主に前線での部隊指揮を行う。3曹に昇任後、実務経験4年で幹部候補生部内選抜試験の受験資格が得られる。
平成9年入隊の第22期生から学歴制限の撤廃、年齢上限の延長(21期までは通常21歳未満、現職22歳未満)等が実施された。入隊する隊員の年齢構成も18歳以上24歳未満と広がったため、入隊者の約半数を大学卒業者が占めている現状である。なお、海上自衛隊の一般曹候補学生は、帝国海軍の海軍飛行予科練習生同様に、7つボタンの制服を着用する。
昨今では、曹候補士制度が充実し優秀な人材が確保されるようになったため、わずか2年で曹に昇進してしまう一般曹候補学生制度との兼ね合いが難しくなった。そのため、平成19年度を以て一般曹候補学生制度は曹候補士制度と統合され、「一般曹候補生である自衛官の任用等に関する訓令」により一般曹候補生制度に一本化される事に決定している。
[編集] 受験資格
- 入隊の時点で18歳以上24歳未満であって高等学校卒業者、またはそれと同等以上の学力の男女。
- 日本国籍を有するもの
[編集] メリットとデメリット
- 約2年間の教育を経て素質優良な隊員を、中堅職域に就かせることで、部隊の活性化につながる。
- 平成9年以降は大卒者の受け入れも開始しており、自衛隊内の高学歴化にも貢献している。
- 欠点として、わずか2年間の教育期間では、部下指導が可能な域にまで職務に習熟することは不可能であり、部隊配置後も引き続きOJT(On the Job Training)が必要となることが挙げられる。
他国の軍隊においては、曹候学生と類似した制度は存在せず、熟練を要する下士官の教育方法について、一つの論点となっている。