中耳
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中耳(ちゅうじ)とは、耳の鼓膜から奥のことをいい、中耳腔、耳小骨、耳管からなる。
[編集] 中耳の機能
中耳は、鼓膜から内耳(三半規管、蝸牛、前庭)へ空気の振動(音など)を伝えるはたらきをしている。
- 中耳腔(ちゅうじくう) - 鼓膜の奥の空洞状になっている部分で、この中に鼓膜に接して耳小骨がある。鼓室(こしつ)とも呼ばれる。壁は粘膜で覆われている。
- 耳小骨(じしょうこつ) - つち骨・きぬた骨・あぶみ骨の3つからなる小さい骨で、鼓膜に伝わった空気の振動を内耳に伝える働きがある。外部からの振動は鼓膜とあぶみ骨底の面積比、耳小骨のてこ運動により約20倍に増幅される。
- 耳管(じかん) - 中耳腔から伸びる管で鼻腔、咽頭につながっている。耳管の中には、たくさんの線毛が生えていて、咽頭の方に向かって動いている。空気と一緒に入ってくるほこりや微生物は、粘膜に吸着されると、線毛の動きに乗って押し流され、中耳の中は清潔に保たれる。エウスタキオ管ともいう。
- 鼓膜張筋とアブミ骨筋 耳小骨に付着してその動きを調節する筋肉で、人体の中で最も小さな筋肉である。鼓膜張筋は下顎神経、アブミ骨筋は顔面神経の支配を受ける。大きな音が鳴ると、反射的にこれらの筋肉が緊張し、大きすぎる振動エネルギーが内耳に伝わらないように制限する。
[編集] 圧力調節
中耳の中は、絶えず酸素が消費されており、それに伴い外耳道より常に圧が低くなっている。
飛行機に乗ったりして周囲の気圧が急激に変化すると、耳にポーンと張ったような違和感を覚えることがある。これは、外耳側は外気圧をそのまま受けるのに対して、中耳側の圧力はすぐには変化せず、鼓膜の両側に圧力差が生じるからである。このような時は、唾を飲み込めばよい。すると、口蓋帆張筋の働きで耳管が開き、中耳の圧力と外気圧との均衡が回復する。ダイバーが行う耳抜きもこれと同じである。
[編集] 中耳の異常
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