佐々木よし江
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佐々木 よし江(ささき よしえ)は、白い巨塔の登場人物で、架空の人物。
大阪船場で繊維卸業を営む株式会社佐々木商店の代表取締役・佐々木庸平の妻。長男・庸一以下二男一女の母。創業以来夫を支え続けた。
胃の不調を訴えて浪速大学第一内科、里見助教授を受診して以来、夫にずっと付き添い、容態急変の後も苦しむ夫を必死で看病した。その死後は病理解剖に附することを拒んだものの、里見や長男・庸一らの説得で応じ、執刀する大河内教授に「顔だけはいじらないで欲しい」と懇願する。
死因が執刀医・財前五郎の誤診と判明した後は告訴を決意、繊維業協会の理事から関口仁弁護士を紹介され、代理人を依頼する。また、佐々木商店の代表取締役となり、商いを続ける。
第一審は当事者尋問に立ち、河野の尋問に激昂して被告・財前につかみかかる。しかし、柳原の偽証や鑑定などもあり、道義的責任は問われたものの法的な責任はないという判決理由で敗訴し、関口と共に直ちに控訴する。
控訴審は、よし江にとって茨の道であった。佐々木商店は経営不振と専務・杉田の売掛金持逃げ、元売の商品引き上げなどにより行き詰まり、やがては倒産した。その債権者集会は修羅場となり、よし江は債権者から吊るし上げられ、位牌を掲げて土下座した。その後、元売の一人、大村伝助の計らいで共同販売所に入り、村木商店の商号で事業を継続する。その共販所も、かつての社長夫人であるよし江や息子の庸一には実に辛いところであった。
審理においては、法廷で証言に立った受持医の柳原弘に真実を証言するよう懇願したが、そのときは柳原は真実を証言しなかった。しかし、私立K大学・正木徹助教授による胸部エックス線診断、北海道大学・長谷部一三教授による化学療法、近畿がんセンター・都留利夫病理室長による切除胃の病理検索など様々な新しい知見が出され、また当事者尋問では柳原がついに真実を証言、勝訴を勝ち取る。