偶然
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偶然(ぐうぜん)とは、必然性の欠如を意味し、事前には予期しえないあるいは起こらないこともありえた出来事のことである。必然の反対。ある程度確実である見込みを蓋然と呼ぶ。副詞的用法では「たまたま」と同義。偶然という言葉は、「思いもよらなかった(思いがけず、図らず)」という意味や、「~するつもりは無かったのに」という意味で用いられる。
偶然は、言葉として用いられるだけでなく、哲学や科学の分野において研究され、「偶然はそもそも存在せず全てが必然である」という立場を唱える学説(決定論)もある。また、偶然は、ヤコブ・ベルヌーイ(『The Art of Conjecturing』)、ド・モアブル(『The Doctrine of Chances』)、トーマス・ベイズ(『An Essay Toward Solving a Problem in Doctrine of Chances』)ら数学者により研究され確率論が生み出された。
偶然は限定的な条件での用法と、絶対的な条件での用法がある。考えていた、あるいは知りえたなどの当面問題になっている諸条件の範囲内で、そうした諸条件によって起きることが予め決まってはいなかった、起こらないこともありえたという意味の場合は前者であり、そもそも事柄の本質として起こらないこともありえた、というのが絶対的な用法である。後者の意味の偶然がありうるかどうかが、決定論との関わりで問題となる。この点、偶然(定まった確率がない)であるように見えても、少なくとも全知者に対しては偶然ではない(じつは定まった確率がある)場合も考えうる。
[編集] 偶然を扱ったもの
[編集] 偶然をタイトルに持つもの
- 素晴らしい偶然を求めて(ヤン富田の音楽CD)
- 偶然性と運命(木田元の新書)
- 偶然性の精神病理(木村敏の書籍)
- 偶然と必然(ジャック・モノーの書籍。原題は『Chance and Necessity』)
- 偶然にも最悪な少年(グ・スーヨンの小説。同小説を原作とした映画)
- 偶然の音楽(ポール・オースターの小説。原題は『The Music of Chance』)
- 偶然の恋人(グウィネス・パルトロウ出演の映画。原題は『Bounce』)
- 偶然の祝福(小川洋子の小説)