先史時代 ヨーロッパ、北米
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先史時代 ヨーロッパ、北米
人類の歴史を通して、約28000年前には最古の芸術作品が作られたという。古代の美術といえば壁画が一番連想しやすい。古代人は洞穴で暮らし、先の尖った石で壁に切り込みをいれ、模様をつけ、最後に色をつけたとされている。
フランスのラスコー洞窟は、有名な洞窟壁画が1940年代に発見された。紀元前15000から10000年前のものと思われる壁画には獰猛に互峙しているウマ、ウシやシカの姿が生き生きと太い黒線と、明るい色で描かれており、ライオンやクマの姿も見られる。これらの絵は複雑な洞窟内部にあったおかげで長い間たった今でもはっきりと残されている。洞窟内部はきわめて複雑につながっており、発見されたきっかけは、偶然にも少年が穴に落ちた犬を追ったからだといわれている。
なぜ人々はこれら戦い合う動物達を描いたのだろうか? 少なくとも狩猟をしていた人々は、動物たちの魂の鏡とされた絵姿を殺すことで、狩猟の成功を願っていたという説がある。また、壁画には宗教が密接に関係しているという意見もある。動物や人間はもちろん、全ての物質には魂が宿っているという信仰をアニミズム、または精霊崇拝というが、これらは狩猟を営んでいる民族、北米インディアンやイヌイットに多くみられる。これらの民族の神話や民話から分かるように、狩猟を主にする人々は、自分達の先祖は動物達と密接な関係があると信じ、実際に北米インディアンの一部はクマなどの動物が祖先だという。
大規模な壁画以外にも古代人達は持ち運びが可能な手ごろな石を見つけては、形に見合った像を作っていた。特に有名なのは胸部と腹部を強調した女性像があり、子孫繁栄の願いを託したものと考えられている。
他に著名なものは、英国南部にあるストーンヘンジ(古代先住民族の環状居石郡遺跡)がある。この遺跡は全体が、太陽が一年で最も高く上る場所を向いている為に太陽崇拝の跡とされている。