クマ
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| クマ科 Ursidae |
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クマ（熊）は、ネコ目（食肉目）クマ科に属する雑食性の大型哺乳類。クマ科にはクマ亜科とパンダ亜科が含まれるが、狭義の「クマ」はクマ亜科の動物を指し、日常語の範囲ではパンダ類は通常「クマ」とは呼ばれない。
日本にはツキノワグマとヒグマの2種類が生息する。クマは一般に、密に生えた毛皮と、短い尾、非常に力強い四肢と大きな体、優れた嗅覚と聴覚をもつ。蹠行性（しょこうせい）であり、人間と同様に足の裏全体を地面につけて歩くという特徴をもつ。5本の指に生えた爪は引っ込めることができない。ネコ目の多くでは、臼歯（きゅうし）が肉を切り裂くための裂肉歯に変化しているが、クマ科では裂肉歯が植物などをすりつぶすのに適した形に2次的な変化を起こしている。寿命は25年から40年。
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[編集] 人間との関わり
ギリシャ神話では、ニンフ（精霊）のカリストが大神ゼウスによって強引に妊娠させられた上、ゼウスの妻ヘラの嫉妬によってクマに変身させられるという悲劇に見舞われた（おおぐま座を参照）。
中国ではクマの手のひら（熊掌）が高級食材として珍重されている。ただし日本本州のツキノワグマは小型すぎて熊掌の材料には不向きである。日本には、安産のお守りとして、クマの手のひらを出産時の産湯に浸けておくという風習があった。
漢方では、クマの胆嚢を原料とした「熊胆」（ゆうたん、熊の胃（くまのい）ともいう）が強壮剤、腹痛薬、解熱薬などとして珍重された。
クマの肉はあまり一般的ではないが食用としても用いられる。個体により、強い臭いがあったりほとんどクセがなかったりと風味は差が大きい。重篤な症状を起す寄生虫である旋毛虫が筋肉中に潜んでいる場合があるため、生食は避けるべき。
クマはロシアを象徴する動物とされている。1980年のモスクワオリンピックでは仔熊の「ミーシャ」がマスコットキャラクターとなった。
クマのぬいぐるみとして、テディベアが良く知られている。「テディ」とはセオドア・ルーズベルト（第26代アメリカ合衆国大統領）の愛称である。熊狩りに出かけたルーズベルト大統領が、あてがわれたアメリカクマの仔熊を見逃したという話をもとに「テディベア」というぬいぐるみが誕生した。また、この「テディベア」などクマのぬいぐるみが元となり、クマのプーさんが生まれた。
しかしながら昨今では、冬ごもりのための食料を取る時期の秋口を中心に人里へ下りて人間に危害を加えたり、農作物を食い荒らすなどの被害が多くなっているため、山間部にクマの多く生息する地方では社会問題化しており、危険・有害動物として駆除が行われている。これは里山を人間が利用しなくなった結果、熊などの野生動物と人間との緩衝地帯が失われたことが大きな原因である。以前は熊と出会うのは里山という緩衝地帯であったが、現在里山は失われて人間のテリトリーではなくなったため、熊と人間はいきなり人里で対面することになってしまったのである。ニホンザルやニホンカモシカからの被害も同様の原因が指摘されている。また、人の目に付かない山奥の山域は戦後営林局が独立採算制であった時代に人工林にされたところが多く、餌場に困った野生動物は人里近くまで降りて来ざるを得ないのである。全体としては減少している日本のツキノワグマの種の保全と、人に対して危害を与えうる動物としてのクマへの対処としての駆除をどう整合性を持たせるかについて、さまざまな議論を呼んでいる。
[編集] 信仰
熊は、二本足で立つことが出来る上に、両手を器用に使う様からよく擬人化され、絵本などの物語でも人気者である。北方少数民族や北米先住民をはじめ、広く世界的に、熊は人間と異なる神、あるいは知恵のある存在として信仰の対象とされてきた。ベルリンやベルンなど地名に用いられることも多い。自分たちの祖先として熊を信仰する場合もある。アイヌのイオマンテ（あるいはイヨマンテ、熊送り）の儀式は、代表的な例である。ネアンデルタール人もクマを崇拝していたとも言われる。
[編集] 分類
クマ科 Ursidae は、イヌ科やアライグマ科と比較的類縁関係が近い。クマ亜科とパンダ亜科の2亜科が含まれる。パンダ類の分類については諸説あり、パンダ科として独立させたり、レッサーパンダをアライグマ科に含めるなどされてきたが、DNA分析による結果から、ジャイアントパンダはクマ科に含まれ、レッサーパンダは独立のレッサーパンダ科とするとする考え方が有力となっている。
[編集] パンダ亜科 Ailurinae
- ジャイアントパンダ属 Ailuropoda
- ジャイアントパンダ Giant Panda, Ailuropoda melanoleuca
[編集] クマ亜科 Ursinae
- クマ属 Ursus
- ヒグマ（ハイイログマ） Brown Bear, Ursus arctos
- アメリカグマ（アメリカクロクマ） American Black Bear, Ursus americanus
- ホッキョクグマ Polar Bear, Ursus maritimus
- ツキノワグマ Asiatic Black Bear, Ursus thibetanus、または、Selenarctos thibetanus
- なお、ツキノワグマを、ツキノワグマ属Selenarctosと分類する場合もある。
- ホラアナグマ Cave Bear, Ursus spelaeus (絶滅)
- ナマケグマ属 Melursus
- ナマケグマ Sloth Bear, Melursus ursinus
- マレーグマ属 Helarctos
- メガネグマ属 Tremarctos
- メガネグマ Spectacled Bear, Tremarctos ornatus
[編集] その他
動物の熊以外に、大兵肥満で体毛の濃い男性を熊にたとえることがある。
ロシア帝国・ソ連は熊にたとえられることが多かった(国際情勢に関する風刺漫画などで扱われた)が、その後身であるCISやロシアはそのように扱われることは少ない。
他と比較して大きな生き物の名前に使われる（クマゲラ、クマゼミ、クマバチなど）
