八甲田山
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八甲田山(はっこうださん)
- 東北、青森市の南側にそびえる火山群の総称。以下に詳述する。
- 八甲田山の最高峰、八甲田大岳(はっこうだおおだけ)、国土地理院では大岳(おおだけ)。標高1584m。
- 新田次郎の代表作『八甲田山死の彷徨』を原作とした映画。八甲田山 (映画)を参照。
- 1978年にTBS系で放映されたテレビドラマ。原作は映画版と同じく『八甲田山死の彷徨』。八甲田山 (テレビドラマ)を参照。
八甲田山(はっこうださん)は青森市の南側にそびえる火山群の総称で日本百名山の一つ。岩木山と同様 本州最北部にある火山。現在の火山活動は穏やか。周辺は世界でも有数の豪雪地帯。
明治35年に青森の歩兵第五連隊が雪中行軍の演習中に記録的な寒波に由来する吹雪に遭遇し、210名中199名が遭難した事件(八甲田雪中行軍遭難事件)が発生し、それを基に新田次郎の小説「八甲田山死の彷徨」に書かれている。
なお、陸上自衛隊青森駐屯地に駐屯する第5普通科連隊も、毎年、厳冬期に、八甲田山系での冬季雪中戦技演習を行なっている。
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[編集] 地形と噴火史
八甲田山は近くにある十和田湖と同じく、カルデラを有する火山群である。広い湿原のある田代平近辺の窪地がカルデラの北半分に相当し、南半分はカルデラ形成後に噴火した八甲田大岳などの火山群が盛り上がっている。櫛ケ峯(1517m)のある南八甲田は古い先カルデラ火山に相当する。カルデラを形成した巨大噴火は2回(65万年前と40万年前)発生した。南八甲田は2回目のカルデラ噴火の前に火山活動を終えている。北八甲田はカルデラ南半分を埋める形で16万年前から活動を始め、繰り返し噴火しながら多数の(余り大きくない)成層火山を形成した。歴史時代の記録では溶岩を流出するような大きな噴火は無いが、山群の所々から火山ガスが噴気している。1997年には訓練中の自衛隊員3名が窪地にたまっていた火山ガスにより死亡する事故が発生している。
[編集] 山を楽しむ
標高1584mの大岳のほかに、田茂萢岳(たもやちだけ)、赤倉岳、小岳、高田大岳などの山々がほとんど同じ高さで並んでいる。ロープウェイは田茂萢岳に設置されており、冬はスキー、積雪期以外ならハイキング気分で山歩きが楽しめる。秋には全山紅葉し見事な錦秋模様となる上、登山道沿いにはコケモモやガンコウランがたくさん実をつけており、目と舌の両方を楽しませてくれる。
[編集] モデルコース
- 酸ヶ湯温泉バス停→仙人岱→八甲田大岳→毛無岱→酸ヶ湯温泉バス停・所要時間5時間----標高差700メートル
[編集] 高山植物
八甲田山には湿原が多く、イワイチョウ、 モウセンゴケ、ミズバショウが見られる。山にはアオモリトドマツ(オオシラビソ)の林があり、稜線にはハイマツが茂っている。
[編集] 温泉
麓には千人風呂が有名な酸ヶ湯がある。その他にも城ヶ倉温泉、谷地温泉、猿倉温泉など小さな温泉があちこちに湧出している。
[編集] 参考文献
- 児島襄1994『日露戦争1』文春文庫
- 『八甲田山死の彷徨』新潮文庫 新田次郎(著)(1978/01)新潮社 ISBN 4101122148
- 『八甲田山から還ってきた男―雪中行軍隊長・福島大尉の生涯』文春文庫 高木 勉(著)(1990/02)文藝春秋 ISBN 4167482029
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- 八甲田ロープウェイ 四季を通じた観光情報、山頂の気象情報など。
- 八甲田スキー場 (青森県のスキー場)
- ABAライブカメラ 青森朝日放送からの八甲田山方向の風景
- 国土地理院 地図閲覧システム 2万5千分1地形図名:八甲田山 (北西)