加藤周一
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
加藤 周一(かとう しゅういち、1919年9月19日 - )は、日本の評論家、作家。東京大学文学部、エール大学講師、ベルリン自由大学、ブリティッシュ・コロンビア大学教授、立命館大学国際関係学部客員教授、立命館大学国際平和ミュージアム元館長。東京都生まれ。医学博士。専門は血液学。九条の会の呼びかけ人の一人。
目次 |
[編集] 人物
旧制府立一中(現都立日比谷高校)では4修卒業、旧制第一高等学校にてスポーツや文学にのめり込み一回落第を経て、1943年東京大学医学部卒業。学生時代から文学に関心を寄せ、卒業後、医業の傍ら「マチネ・ポエティク」の一員として韻律を持った日本語詩を発表、他に文学に関する評論、小説を執筆。1951年からは、医学留学生としてフランスに渡り、主に文明批評を発表。以後、国内外の大学で教鞭をとりながら執筆活動を続けている。『雑種文化―日本の小さな希望』で名を知られ、『読書術』はベストセラー、半生を振り返った『羊の歌』は岩波新書のロングセラーである。1980年に『日本文学史序説 上・下』で大佛次郎賞、1993年に朝日賞をそれぞれ受賞。3回結婚、1回離婚したといい、現在の妻は評論家の矢島翠。終戦直後、被爆の実態調査のために広島に行き、原爆の被害を実際に見聞している。
また、林達夫のあとをつぎ、平凡社の『世界大百科事典』編集長をつとめ、その「林達夫」「日本」「日本文学」の項目を執筆した。
また「岩波文化人」の代表格に挙げられ、九条の会の呼びかけ人の一人。その為かいわゆる進歩的文化人の一人にも挙げられる。
[編集] 著書
- 『一九四六・文学的考察』(中村真一郎、福永武彦、1947年、現在講談社文芸文庫)
- 『文学と現実』 中央公論社, 1948
- 『現代フランス文学論 第1』銀杏書房,1948
- 『道化師の朝の歌』(小説) 河出書房, 1948
- 『ある晴れた日に』(小説)、1950
- 『文学とは何か』角川新書, 1950
- 『抵抗の文学』岩波新書, 1951
- 『美しい日本』角川書店, 1951
- 『現代詩人論』弘文堂, 1951
- 『戦後のフランス』未来社, 1952
- 『ある旅行者の思想』角川新書、1955
- 『運命』(講談社、1956年)
- 『雑種文化』(講談社、1956年)
- 『政治と文学』平凡社, 1958
- 『西洋讃美』社会思想研究会出版部, 1958 (現代教養文庫)
- 『神幸祭』講談社, 1959
- 『現代ヨーロッパの精神』岩波書店, 1959
- 『ウズベック・クロアチア・ケララ紀行』岩波新書、1959
- 『東京日記』朝日新聞社, 1960
- 『二つの極の間で』弘文堂, 1960
- 『頭の回転をよくする読書術』 1962 カッパ・ブックス
- 『加藤周一世界漫遊記』毎日新聞社, 1964
- 『海辺の町にて』文芸春秋新社, 1964
- 『三題噺』筑摩書房、1965
- 『芸術論集』岩波書店, 1967
- 『羊の歌』1968(岩波新書)
- 『羊の歌 続』1968(岩波新書)
- 『言葉と戦車』筑摩書房, 1969
- 『日本の内と外』文芸春秋, 1969
- 『中国往還』中央公論社, 1972
- 『称心独語』新潮社, 1972
- 『幻想薔薇都市』新潮社, 1973
- 『歴史・科学・現代』平凡社, 1973
- 『日本文学史序説』上下 筑摩書房,(1975年、80年、大佛次郎賞)
- 『現在のなかの歴史』新潮社, 1976
- 『薔薇譜』湯川書房, 1976
- 『言葉と人間』朝日新聞社, 1977
- 『日本人の死生観』上下 M.ライシュ,R.J.リフトンとの共著、1977(岩波新書)
- 『加藤周一著作集』15巻補巻9巻・全24巻(1978年 - 1980年、1996年 - 1997年、平凡社)
- 『山中人間話』(1980年)
- 『夕陽妄語』(1984年 - ,朝日新聞社)
- 『富永仲基異聞 消えた版木』かもがわ出版,1998
- 『私にとっての20世紀』岩波書店,2000年
- 『暴力の連鎖を超えて』(2002年、共著) ISBN 978-4000092616
- 『学ぶこと 思うこと』(2003年) ISBN 978-4000092869
- 『高原好日―20世紀の思い出から 』信濃毎日新聞社,2004 ISBN 978-4784099740
- 『私たちの希望はどこにあるか 今、なすべきこと』(2004年) ISBN 978-4876997954
- 『二十世紀の自画像』(2005年)
- 他に、「読書術」( 青春出版社)など
[編集] 翻訳
- 『海の沈黙・星への歩み』ヴェルコール 1951 (岩波文庫)