北海道ちほく高原鉄道ふるさと銀河線
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ふるさと銀河線(ふるさとぎんがせん)は、北海道中川郡池田町(十勝支庁)の池田駅から北見市(網走支庁)の北見駅に至る北海道ちほく高原鉄道が運営していた鉄道路線。旧国鉄特定地方交通線(池北線・ちほくせん)を引き継いだ路線であるが、2006年4月21日に廃止された。路線名の「銀河」は、宮沢賢治の著作『銀河鉄道の夜』にちなむ。
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[編集] 路線データ
[編集] 歴史
もともとは、道央と網走を結ぶ幹線鉄道(網走線→網走本線(あばしりほんせん))として1910年に池田側から開業したもので、1911年には野付牛(現在の北見)まで延長、1912年にはさらに網走へと延長された。しかし、1932年に石北線が野付牛に達すると距離の短い石北線がメインルートとなった。1961年には、線路名称の整理が行われて、石北線が名実ともに本線(石北本線)となり、池田~北見間が池北線となった。
池北線は、国鉄再建法施行により廃止対象となった。北海道の国鉄特定地方交通線で営業キロが100km以上あった4線(池北線のほか、標津線、天北線、名寄本線)は「長大4線」と呼ばれ、特別な配慮を地元自治体が求めた。そこで、1984年の第2次特定地方交通線承認では、バス転換しなければならないのかを調査するため、池北線など長大4線は保留された。しかし、1985年、「乗客数減少により赤字が増大することが予想され、バス転換しなければならない」として追加承認された。
1987年に北海道旅客鉄道(JR北海道)に承継されたが、1989年に北海道ちほく高原鉄道に転換された。この路線が存続に至ったのは政治的な配慮のうえの第三セクター設立という疑惑があるとされる(『朝日新聞』では「足寄町出身の鈴木宗男衆院議員(当時)が存続を強く求めて生き残った」としている)。
しかし、沿線の過疎化が進むと同時に、足寄町まで道東自動車道(高速道路)が開通したことから、もともとモータリゼーションの発達したこの地域では鉄路よりも便利な高速道路へ利用者が流れ、1990年度には年間約100万人あった旅客も2003年度には約50万人まで半減した。
鉄道会社側は当初、沿線自治体に対して鉄路存続のための資金の協力を要請したが、銀河線以外の公共交通機関が全くないため廃止に猛反対していた陸別町以外の沿線自治体は資金の協力を拒否。そのため、2005年3月27日の取締役会で陸別町長以外の賛成により廃止することが決定された。そして同年4月21日に北海道運輸局長に廃止届が提出された。2006年4月20日限りで廃止され、廃止後はバス路線に転換された。これによって北海道の旧国鉄特定地方交通線は全て消滅した。
- 1910年9月22日 網走線池田~淕別(現在の陸別)間 (77.4km) 開業
- 1911年9月25日 淕別~野付牛(現在の北見)間 (62.6km) 開業
- 1912年10月5日 野付牛~網走(後の浜網走。現在廃止)間開業。網走線全通
- 1912年11月18日 線名改称。池田~網走間を「網走本線」とする
- 1961年4月1日 路線統合網走本線のうち、池田~北見間 (140.0km) を池北線とし、北見~網走間を石北本線に編入
- 1962年10月1日 線内初の優等列車として帯広~北見間運行の準急列車「池北」運行開始。運行当時は、帯広~陸別間1往復、帯広~北見間運行の1往復の計2往復。
- 1966年3月5日 準急列車制度改変により、「池北」急行列車に昇格。
- 1971年7月1日 「池北」陸別発着の1往復を廃止。「池北」1往復のみとなる。
- 1980年10月1日 「池北」運行終了。
- 1984年6月22日 廃止承認保留(第2次特定地方交通線)
- 1985年8月2日 廃止承認(第2次特定地方交通線)
- 1987年4月1日 国鉄民営化により北海道旅客鉄道に承継。貨物営業廃止
- 1989年6月4日 JR池北線廃止。北海道ちほく高原鉄道ふるさと銀河線開業 (140.0km)
- 1991年11月1日 根室本線帯広~池田間に乗入れ開始
- 1995年9月4日 岡女堂駅新設
- 2005年3月27日 取締役会にて廃止が決定される
- 2005年4月17日 臨時株主総会で廃止を正式に決定
- 2005年4月21日 廃止を届出
- 2006年4月21日 全線廃止
[編集] 運転形態
全線を通しで運転する列車の他、置戸~北見間で区間列車が多く設定されており、北見側では1~2時間に1本程度が運行されていた。池田側では、足寄駅・陸別駅発着の区間列車が設定されていて、2時間に1本程度だった。陸別~置戸間は支庁の境界を含む区間でこの区間の列車本数は少なく、4~5時間も開く時間帯があった。
一部の列車はJR根室本線の帯広駅まで乗入れていた。また早朝の池田~足寄間の1往復はJRの車両が乗り入れてきた。そのほか、JRのイベント列車が線内を通過することもあった。
普通列車の他、帯広~北見間に快速「銀河」が運転されており、同区間を約3時間で走破していた。また、普通列車といえども、一部の駅を通過する列車があった。
[編集] 廃止後の代替交通
廃止後の代替交通機関となるバス路線は陸別で分断され、池田側(帯広~池田~陸別間)は十勝バス、北見側(陸別~北見間)は北海道北見バスが運行している。
[編集] 駅データ
駅名 | 駅間キロ | 累計キロ | 交換可能 | 快速銀河 | 接続路線など | 所在地 全線北海道内所在 |
---|---|---|---|---|---|---|
池田駅 | - | 0.0 | ● | 北海道旅客鉄道:根室本線(一部直通) | (十勝支庁) 中川郡池田町 |
|
様舞駅 | 5.7 | 5.7 | | | 旧仮乗降場 | ||
高島駅 | 5.8 | 11.5 | ○ | ● | ||
大森駅 | 5.0 | 16.5 | | | 旧仮乗降場 | ||
勇足駅 | 4.3 | 20.8 | ▲ | ● | 中川郡本別町 | |
南本別駅 | 2.7 | 23.5 | | | |||
岡女堂駅 | 3.8 | 27.3 | | | 転換後新駅 | ||
本別駅 | 2.5 | 29.8 | ○ | ● | ||
仙美里駅 | 6.4 | 36.2 | ▲ | | | ||
足寄駅 | 8.4 | 44.6 | ○ | ● | 足寄郡足寄町 | |
愛冠駅 | 6.1 | 50.7 | ▲ | | | ||
西一線駅 | 3.3 | 54.0 | | | |||
塩幌駅 | 1.9 | 55.9 | | | 旧仮乗降場 | ||
上利別駅 | 2.5 | 58.4 | ○ | ● | ||
笹森駅 | 3.8 | 62.2 | | | 旧仮乗降場 | ||
大誉地駅 | 4.3 | 66.5 | ▲ | ● | ||
薫別駅 | 4.2 | 70.7 | | | 足寄郡陸別町 | ||
陸別駅 | 6.7 | 77.4 | ○ | ● | ||
分線駅 | 5.7 | 83.1 | | | |||
川上駅 | 4.1 | 87.2 | ▲ | | | ||
小利別駅 | 6.3 | 93.5 | ▲ | ● | ||
置戸駅 | 15.9 | 109.4 | ○ | ● | (網走支庁) 常呂郡置戸町 |
|
豊住駅 | 4.4 | 113.8 | | | 旧仮乗降場 | ||
境野駅 | 2.8 | 116.6 | ▲ | ● | ||
西訓子府駅 | 1.8 | 118.4 | | | 旧仮乗降場 | 常呂郡訓子府町 | |
西富駅 | 3.0 | 121.4 | | | |||
訓子府駅 | 2.1 | 123.5 | ○ | ● | ||
穂波駅 | 1.8 | 125.3 | | | |||
日ノ出駅 | 2.1 | 127.4 | ▲ | | | ||
広郷駅 | 2.0 | 129.4 | | | 旧仮乗降場 | 北見市 | |
上常呂駅 | 2.8 | 132.2 | ○ | ● | ||
北光社駅 | 3.3 | 135.5 | | | 旧仮乗降場 | ||
北見駅 | 4.5 | 140.0 | ● | 北海道旅客鉄道:石北本線 |
- 交換可能:○は列車の行違い(交換)可能駅。▲は交換設備を撤去した駅
- 快速銀河:●の駅は停車、|の駅は通過
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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