即時取得
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即時取得(そくじしゅとく)とは、動産を占有している無権利者を真の権利者と過失なく誤信して取引をした者に、その動産について完全な所有権または質権を取得させる制度。善意取得(ぜんいしゅとく)ともいわれる。日本においてはb:民法第192条に規定がある。
- 即時取得(第192条)
- 取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。
[編集] 概要
即時取得の対象は動産である。ただし、不動産でいう登記に代わりうる公的な登録がされているものは即時取得できない。
- 自動車は登録制度があるので即時取得はできない。
- 船舶は、登記制度があるのでできない。
また、無記名債権(債権者が特定されていない、証券化された債権)は第86条3項によって動産と同じ扱いを受ける。
即時取得を主張するためには、その動産の占有を売買などの取引行為によって平穏かつ公然に取得していなければならない。また、その動産を所持していた者が実は真の権利者では無かったということを知らない状態(善意)で、かつ知らないことについて不注意が無い(無過失)ことも要求される。これらの要件は第192条に規定されているが、「取引行為によって」という文言は2004年の民法改正において従来からの通説を条文に取り込んだものである。
盗品又は遺失物については、盗難又は遺失の時から二年間、占有者に対してその物の回復を請求することができる(第193条)が、競売若しくは公の市場において、又はその物と同種の物を販売する商人から、善意で買い受けたときは、代価を弁償しなければ、その物を回復することができない(第194条)。
金銭は動産であるが、即時取得の対象とならないとするのが判例の立場である。