善意取得
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善意取得(ぜんいしゅとく)とは、民法、有価証券法の概念、用語の一つである。取引の安全を保護するための制度であり、権利外観法理の一類型である。なお、善意とは道徳的に善であることを意味するものではなく、これもまた法的概念の一つである。
[編集] 民法上の善意取得
[編集] 有価証券法上の善意取得
手形・小切手・株券・新株予約権付社債などの有価証券を、「相手方が正当な所持人である」と重過失なく誤信して、無権利者から譲り受けること。手形または裏書譲渡しうる小切手のときは、「裏書の連続」も要件とされる。
以降は典型的な有価証券である約束手形について、通説である権利外観論に即して述べる。(二段階創造説についてはここでは割愛する。)
- 無権利者
手形を譲り受けた相手が無権利者であった場合をいう。なお、 無権利者だけでなく意思表示に瑕疵があった場合にも善意取得で保護されるか問題になるが、沿革上の理由や意思表示に関する規定の趣旨を重視してこれについては善意取得を認めないとする見解が通説である。ただ、手形の高度の流通性を理由にこれに反対する見解も根強い。
- 裏書の連続
券面上振出人から現在の所持人まで裏書が途切れていないことをいう。 このような手形の所持人には証券上の権利が真正に移転している蓋然性が高いからである。このことを指して裏書には資格授与的効力があるという。 なお、裏書が途切れている場合でも、その断絶部分について権利の移転があったことを立証できれば裏書の連続が架橋され善意取得が成立するとするのが判例であるが(これを架橋説という)、裁判も経ずに立証があったかどうかを判断するのは困難であるから架橋説を疑問とする見解も多く、また、手形実務もこれを認めていないとされる。
- 無重過失
手形行為は絶対的商行為であるので即時取得よりも主観的要件が加重される。
- 法的効果
条文上、適法の所持人とみなされるとあるが、法的効果は擬制ではなく推定にすぎないため、反証に成功すれば善意取得を否定することも可能である。なお、善意取得は承継取得ではなく原始取得である。