古マタラム王国
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
古マタラム王国(こマタラムおうこく、Kerajaan Mataram (Hindu);717年 - 929年)は、インドネシアのジャワ島のジョグジャカルタ周辺に8-9世紀に繁栄したヒンドゥー王国。16世紀以降の「マタラム王国」(イスラム・マタラム又は(新)マタラム王国)と区別するため、「古」をつける場合が多いが、当時の自称は、「マタラム(王)国」であった。
チャンガルのプラサスティの碑文を、サンジャヤ紀元と呼ばれる紀年法で計算すると、サンジャヤ(Sanjaya)王が717年に即位したとされる。王位は、サンジャヤ王を含めて14代にわたって受け継がれてきたことが最近の碑文研究からも判明している。11代目のバリトゥン王(在位898年 - 910年)のときに壮大なヒンドゥー寺院チャンディ・ロロ・ジョグラン(チャンディ・プランバナン)が建設されたことで知られる。ブランバナンは、次のダクサ王(在位910年 - 919年)のときに完成した。1991年には、世界遺産に登録された。なお、プランバナンの南方2kmにあるラトゥボコという小高い丘の遺跡が778年に建設された古マタラム王国のクラトン(王宮)と考えられている。
イサナ家のムプ=シンドク王(在位929年 - 947年)のとき、東部ジャワに移転し、以後をクディリ王国と呼ぶ。移転の原因はよく分かっていないが、地震か伝染病か何かの災害であると推定され、ひとつの有力な説として、ムラピ火山の大爆発があって、飢饉、疫病がひろがったために、住民が逃亡し、移転せざるを得なかったのではと考えられている。古マタラム王国は、歴史上インドネシアにおけるヒンドゥー諸王朝の始祖的な王朝として位置づけることができ、ヒンドゥー的色彩の強い宮廷舞踊は、現在にまで受け継がれて残されている。