合成開口レーダー
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合成開口レーダー(ごうせいかいこうれーだー、SAR:Synthetic Aperture Radar)はレーダーの一種で、航空機や人工衛星に搭載し、移動させることによって仮想的に大きな開口面(レーダーの直径)として働くレーダー。
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[編集] 概要
一般のレーダーは、通常マイクロ波(もしくはミリ波)を対象物に照射し、反射して返ってきた電磁波を分析し、対象物の解析を行なう。この方式には、雲などの影響を受けずに対象物の解析ができるという長所がある反面、同じ直径の光学レンズに比べると分解能が非常に低く(光学レンズの10万分の1程度)、光学レンズ並に分解能を上げようとするとレーダーの直径を極めて大きくする必要があり、物理的に困難である。この短所を解消するために考え出されたのが合成開口レーダーである。
合成開口レーダーは、原理的にはフェーズドアレイレーダーと同じで、軌道上に仮想的なアンテナをいくつも並べたものである。つまり、軌道を移動中に何回も送受信を行ない、受信した電波を合成することによって分解能を向上させている。すなわち、「小さな開口面を合成して大きな開口面を実現したレーダー」であり、そのため「合成開口レーダー」と呼ばれる。
フェーズドアレイレーダーと違うのは、
- 受信した電波に時間差がある。
- フェーズドアレイレーダーは電気的に受信した電波を合成することができるが、それができない。
- ドップラー効果によって電波の周波数がずれる。
- 一度に一つの点でしか観測できず、面で観測したい場合、何度も観測する必要がある。
という点であり、これらの問題を解決するため、コンピュータによるデータ処理が必須である。
[編集] 用途
合成開口レーダーはアポロ計画の頃からあり、NASAが月面探査などに使用していた。しかし、合成開口レーダーによって得られるデータ量は膨大であり、高性能なコンピュータが無ければデータの処理ができず、アポロ計画のように巨額の予算を使えるプロジェクトでなければ使用できなかった。そのため、用途が広がったのは近年コンピュータが発達してからである。現在では以下のような用途に使われている。
[編集] 干渉合成開口レーダー
応用として、干渉合成開口レーダー(InSAR: Interferometric SAR)がある。これは、同じ地点を2ヵ所から、または2時期に観測し、データ処理することによって、地表の標高やその変化の映像を得るものである。現在では地震による地殻変動の観測などに使われており、今後様々な分野への応用が期待されている。
[編集] 逆合成開口レーダー
レーダーアンテナの移動ではなく、相手側の移動や姿勢変化を利用して分解能力を高める逆合成開口レーダー(ISAR Inverse Synthetic Aperture Radar)というものもある。