吸血鬼のおしごと
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『吸血鬼のおしごと』(きゅうけつきのおしごと)は、鈴木鈴/著、片瀬優/イラストのライトノベル。電撃文庫刊。第8回電撃ゲーム小説大賞選考委員奨励賞を受賞している。作者のデビュー作。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] あらすじ
湯ヶ崎町に住む月島亮史は一見どこにでもいるとぼけた青年だが、その正体は超人的な力を持つ吸血鬼。使い魔のツキとともに人間世界に適応しつつ平穏に暮らしていたが、ひょんなことから幽霊少女・雪村舞、そしてシスターのレレナと暮らすことになってしまった。時を同じくして亮史の住む湯ヶ崎町に正体不明の化け物が現れて・・・・・・
[編集] 特徴
この作品において吸血鬼は次の3つの階級に分かれる。
- 主人:俗に言う一般的な吸血鬼。人間からなったわけではなく、この世に発生した時から純粋な吸血鬼。人間と比べると筋力も圧倒的に強く『狼』・『蝙蝠』・『霧』などの変化能力、そして何よりの主人が恐れられる理由である絶対遵守の力『支配』を使うことができ、怪我をしても能力によって『再生』する。また、人間から死に値するほどの吸血行為を実行すると『感染』し従者にできる。また、水(真水。よってお茶などは含まない)に触れると皮膚がただれ、銀によってつけられた傷は『再生』しない。それでもなお人間を圧倒する力を持つ夜の王である。
- 従者:主人の吸血行為によって吸血鬼化した元人間。身体能力は主人には及ばないが、亡者にはない知能を持っている。また、従者は、自分を吸血鬼にした主人に対し目を見ながら命令を刻み込まれるとそれには絶対に逆らえない。主人を恨んでいる従者が大多数。
- 亡者:従者の持つ唯一の能力『感染』(劣化版)によって吸血されたものが亡者になる。理性を徐々に失い最終的には吸血衝動と化け物じみた身体能力を持つだけのものとなる。
この作品において、単に吸血鬼に血を吸われるだけでは吸血鬼になることはなく、吸血行為によって相手を失血死に至らしめて初めて吸血鬼化する。失血による仮死状態に至らしめてしまった場合、蘇生しても『半吸血鬼』になる。
また吸血鬼になると、定期的な吸血衝動などメジャーな吸血鬼的特徴の他、『鏡(またはそれに類する光りを反射するもの)に姿が映らなくなる』、『流れる水(川・海も含む)を渡ることができなくなる』などの症状が現れる。これは半吸血鬼にも部分的に適用され、レレナが母国イタリアに帰れなくなってしまったのは後者の理由によるものである。
[編集] 登場人物
[編集] 主要キャラクター
- 月島 亮史
- 吸血鬼の『主人』にして吸血鬼を捨て人間になろうとしている男。普段は頼りない印象を受けるが、いざ戦闘になると加熱した「主人」の血が出口を求めて荒れ狂い、破壊衝動を爆発させる現象≪炎≫に身を任せ、自分でも抑えきれない残虐な一面をみせる。普段はコンビニで買った輸血パックを飲み、道路工事の現場でアルバイトをしている。また住民登録していてる。昔の名前は魎月。かつて「上弦」という名の吸血鬼と行動を共にしていた。数世紀前、まだ魎月と呼ばれていたころに、ただの餌としか思っていなかった人間達の文明が急成長した事により人間に混ざって人間として生きていくと決意したが、吸血鬼としてのプライドの高い上弦と意見が分かれて末に道を分かつ事になる。彼自身、吸血鬼である事に矜持も誇りも持っておらず、別段主人公としての目的や目標があるわけでも無く、ただ生きる為に生きるといった風情である。あえて挙げるなら、彼は「人間の熱、感情を理解したい」という願望があるものの、本質的に彼の内面に歓喜や憎悪、生きる喜びが無ければ死ぬ恐怖すら曖昧で、他の人物達が感情をあらわにしいているのを見て怪訝に思いつつも「うらやましい」という感想を抱いている。同じある戦いの最中で彼は本当の意味で「人間」となる事が出来るが・・・。
- レレナ・パプリカ・ツォルドルフ
- 1巻で半吸血鬼になってしまい家に帰れなくなり、月島亮史の家に居候になって家事をしている。日本とイタリアのハーフ。
- 作品中ではこれでもかというほどに痛めつけられており、そういったシーンについては完全に意見が分かれている。
- 雪村舞
- 幽霊の少女。蜘蛛に殺された後、1巻で亮史と出会い、レレナと同じく月島の家に居候している。
- だが、物語終盤でこの世から完全に消え去ってしまう…。
- ツキ
- 吸血鬼、月島亮史の手によって、使い魔となった人語を喋る猫。本名三日月。この使い魔にする事を亮史は『契約』と呼んでいる。子孫に「ウルシ」という猫がいた。
[編集] 上弦とその眷属
- 上弦
吸血鬼の主人。過去に亮史と共に行動していた。当時は名がなく、便宜的にナナシと呼ばれている。上弦という名は亮史が与えた名。
- 玄翁
上弦と行動を共にする従者。上弦と共にいるのは『支配』からではなく、玄翁の意思によるもの。
- ツル
上弦と『契約』を結んだ狐の使い魔。上弦への忠誠心を自らの誇りとし、『支配』なくとも上弦の命令は絶対とする。
[編集] 組織
- シギ
組織に属する従者。穏やかな性格で、『蜘蛛』を追い湯々崎に来る。人間の時に主人に恋をして従者となる。登場する従者 の中では珍しく主人を憎んでいない。
- クイナ
組織に属する従者で狩人。シギの妹で姉とは違い、主人に対してかなりの憎しみをもつ。
- 真田
組織のボス。主人であるが、心臓が弱く、従者並みの力しかなかった
[編集] 湯ヶ崎の猫達
- モザイク
- いつもツキの隣にいる、普通の猫。体のまだら模様が名前の由来。雪村舞のペットだった事が判明。
- ユキ
- 使い魔ツキに恋心をよせている普通の猫。真っ白な毛の色からその名を付けられた。
- シマ
- 気性の荒いメスの三毛猫。三色ストライプの長々とした優雅な尻尾が自慢とのこと。湯ヶ崎では割と古株。
- カンクロ
- ロシア
[編集] その他
- マリ・ツォルドルフ
- レレナの母。日本人。
- ガゼット・クロムウェル
- マリの友人で、教会の大司教についている。性格は非常に大雑把で、よく部下の修道士に仕事を押し付けてはサボっている。
[編集] 備考
- 当初『ファンタジック・コメディ』路線であったはずが、4巻からシリアス路線に完全転換。これについては賛否両論あるものの、1~3巻で見せていた作者の軽妙な語り口や、ほのぼのとした雰囲気が一気に消し飛んでしまったことは確かである。
[編集] シリーズ一覧
- 吸血鬼のおしごと the style of Vampires ISBN 4840220727
- 吸血鬼のおしごと2 the style of Servants ISBN 484022143X
- 吸血鬼のおしごと3 the style of Speceters ISBN 4840221901
- 吸血鬼のおしごと4 the style of Misterss ISBN 4840222711
- 吸血鬼のおしごと5 the style of Master ISBN 4840223874
- 吸血鬼のおしごと6 the style of Association ISBN 4840225125
- 吸血鬼のおしごと7 the style of mortals ISBN 4840227802
- 吸血鬼のおしごとsp the days gone by ISBN 4840229090
電撃ゲーム小説大賞選考委員奨励賞
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第7回
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第9回
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王道楽土
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