国鉄機関車の車両形式
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国鉄機関車の車両形式(こくてつきかんしゃのしゃりょうけいしき)では、日本国有鉄道(国鉄)およびJRグループ各社における機関車の車両形式の付番方法を説明する。
目次 |
[編集] 蒸気機関車
蒸気機関車の形式称号の付け方は1928年に改められている。この改正以降、アルファベットと数字を組み合わせた形式に改められた。
[編集] 1928年称号改正前の形式
1~4999をタンク機関車、5000~9999をテンダー機関車の番号として使った。
[編集] 1928年称号改正後の形式
- (例)D51 200
D | 51 | 200 |
---|---|---|
動輪軸数 | 形式 | 製造順番号 |
蒸気機関車では電気機関車やディーゼル機関車のようなアルファベットの頭文字がなく、アルファベットが1文字しかない。
- 動輪軸数
- アルファベット順に対応している。動輪軸のみであり従輪や炭水車の台車は含まない。
- 2軸…B
- 3軸…C
- 4軸…D
- 5軸…E
- 形式
- 2桁の数字で表し、タンク機関車かテンダ機関車かによって区分する。
- 10~49 - タンク機関車
- 50~99 - テンダ機関車
上記の付番法則によると、D51 200はD51形機関車の200番目に製造された車両であり、D51形は動輪軸数4軸でテンダ機関車の形式ということになる。
[編集] 電気機関車
[編集] 国鉄時代の形式
- (例)EF81 95
E | F | 81 | 95 |
---|---|---|---|
電気機関車 | 動輪軸数 | 形式 | 製造順番号 |
- E
- 先頭の文字「E」は電気機関車であることを示す(電気を示す英語Electricの頭文字)。
- 動輪軸数
- 動輪軸数をアルファベット順に対応させ、対応するアルファベットで表す。動輪軸のみであり、従輪や中間台車などは含まない。
- B - 2軸
- C - 3軸
- D - 4軸
- F - 6軸
- H - 8軸
- ※上記以外の動輪軸数の電気機関車は国鉄に実在したことがない。
- 形式
- 形式は2桁の数字で表し、最高速度と電気方式を示す。ごく一部にこの付番法則に準拠しない例外が存在する。
- 10~29 - 最高速度が85km/h以下の直流電気機関車
- 30~39 - 最高速度が85km/h以下の交直流電気機関車
- 40~49 - 最高速度が85km/h以下の交流電気機関車
- 50~69 - 最高速度が85km/hを超える直流電気機関車
- 70~79 - 最高速度が85km/hを超える交流電気機関車
- 80~89 - 最高速度が85km/hを超える交直流電気機関車
- 90~99 - 試作機関車
- 製造順番号
- 原則として1から順に2,3,4,…と付番していく。ただし、用途や性能がそれまでのものと大きく異なる場合、区別のため500番台や1000番台など新規区分番台を起こすことがある(EF65形1000番台、ED75形700番台など)。区分番台の数字が持つ意味は形式によって異なっており、統一されていない(900番台はその形式の試作機に付番されることが多く、1000番台は高速列車牽引用機に付番されることが多い)。
上記の付番法則によると、EF81 95はEF81形機関車の中で95番目に製造された車両であり、EF81形は電気機関車で動輪軸数6軸、交直流方式で最高速度が85km/hを超える形式ということになる。
[編集] JR発足後の新形式
- (例)EH500-10
E | H | 500 | - | 10 |
---|---|---|---|---|
電気機関車 | 動輪軸数 | 形式 | 製造順番号 |
形式の数字以外は国鉄時代の形式と同一の規程であるため詳細は省略する。形式と製造順番号の間にはハイフン( - )を入れる。
- 形式
- 形式の数字が3桁となった。最高速度による区分を廃止し、代わりに電動機の種類による区分を設けた。
- 100~199 - 直流電動機を使用する直流電気機関車
- 200~299 - 交流電動機を使用する直流電気機関車
- 300~399 - その他の直流電気機関車
- 400~499 - 直流電動機を使用する交直流電気機関車
- 500~599 - 交流電動機を使用する交直流電気機関車
- 600~699 - その他の交直流電気機関車
- 700~799 - 直流電動機を使用する交流電気機関車
- 800~899 - 交流電動機を使用する交流電気機関車
- 900~999 - その他の交流電気機関車
上記の付番法則によると、EH500-10はEH500形機関車の中で10番目に製造された車両であり、EH500形は電気機関車で動輪軸数8軸、交直流方式で交流電動機を使用している形式ということになる。
[編集] ディーゼル機関車
[編集] 国鉄時代の形式
- (例)DD51 791
D | D | 51 | 791 |
---|---|---|---|
ディーゼル機関車 | 動輪軸数 | 形式 | 製造順番号 |
- D
- 先頭の文字「D」はディーゼル機関車であることを示す(ディーゼルの英字表記Dieselの頭文字)。
- 動輪軸数
- 電気機関車と同様、アルファベット順。従輪や中間台車などは含まない。
- 2軸…B
- 3軸…C
- 4軸…D
- 5軸…E
- 6軸…F
- ※上記以外の動輪軸数のディーゼル機関車は国鉄に実在したことがない。
- 形式
- 2桁の数字で表し、最高速度により区分する。
- 10~39 - 最高速度が85km/h以下の機関車
- 50~89 - 最高速度が85km/hを超える機関車
- 40~49、90~99 - 試作機関車
- 製造順番号
- 電気機関車と同じ。
上記の付番法則によると、DD51 791はDD51形機関車の500番台(重連総括制御仕様。501から始め、502,503,504,…の順に付番)の291番目に製造された車両であり、DD51形はディーゼル機関車で動輪軸数4軸、最高速度が85km/hを超える形式ということになる。
[編集] JR発足後の新形式
- (例)DF200-12
D | F | 200 | - | 12 |
---|---|---|---|---|
ディーゼル機関車 | 動輪軸数 | 形式 | 製造順番号 |
形式の数字以外は国鉄時代の形式と同一の規程であるため詳細は省略する。形式と製造順番号の間にはハイフン( - )を入れる。
- 形式
- 形式の数字が3桁となった。最高速度による区分を廃止し、代わりに動力伝達方式による区分を設け、電気式ディーゼル機関車の場合は電動機の種類によっても区分することとしている。
- 100~199 - 直流電動機を使用する電気式ディーゼル機関車
- 200~299 - 交流電動機を使用する電気式ディーゼル機関車
- 300~399 - その他の電気式ディーゼル機関車
- 500~799 - 液体式ディーゼル機関車
上記の付番法則によると、DF200-12はDF200形機関車の12番目に製造された車両であり、DF200形はディーゼル機関車で動輪軸数6軸、電気式ディーゼル機関車で交流電動機を使用している形式ということになる。