地域社会学
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地域社会学(ちいきしゃかいがく)とは社会学の一領域。地域の構造や機能を多角的に分析する。日本における著名な研究者として、福武直、蓮見音彦、島崎稔らがいる。
[編集] 概要
地域社会学は、都市社会学や農村社会学に隣接する分野であり、都市と農村の接合領域ということもできる。地域社会学会の役員は都市社会学会の役員と多くが重なっている。
戦後初期の日本では、福武をはじめとして農村社会学のウェイトが大きく、農村社会の近代化が主要なテーマであり、構造分析による研究が盛んになされた。全国総合開発計画等のナショナルな都市開発が展開されるようになると、マクロな全体社会の変動のうちに地域社会を分析する気運が高まり、社会過程分析が構造分析に取って代わるようになった(代表的な研究者として似田貝香門)。他方で、都市化社会の進展とともに、都市コミュニティとしての地域社会形成が分析対象に据えられた。ここでは、旧来の町内会・自治会の役割を評価する研究と、町内会・自治会に代わる新たなコミュニティを求める研究とが並行して進められた。この間の代表的な研究者としては、松原治郎、秋元律郎、奥田道大、鳥越皓之、藤田弘夫、吉原直樹らがいる。その後は、市民参加や「まちづくり」論など、都市的な公共性と共同性のありように焦点が当てられるようになっている。
そして、マイナーではあるが、地道に量が重ねられているのが、地方の都市と農村を合わせた地方都市圏の研究である。地方都市圏の研究がメジャーにならないのは、地方圏の研究をすべき社会学の大学院特に博士課程が地方には少ないことや、優秀な研究者がステータスやレベルが高い大都市の大学に移ることが挙げられる。
また、個々の地域問題に対応する形での研究が数多く蓄積されてきたが、とりわけ近年の防犯、防災、福祉、教育、自治、観光等における「地域」への関心の高まりを背景にして、地域社会学の果たしうる社会貢献の今日的可能性が広がっている。
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