壁に耳あり
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ここでいう壁に耳ありとは、都市伝説の一つ。
とある医大の解剖実習中。実習に飽きた医大生が献体の耳をそぎ落とし、タイルの壁に付け「壁に耳あり」と言ってふざけた。その後この医大生は不謹慎であると退学処分になるという話。
話のバリエーションとしてこの医大生が今、高名な○○先生であるというパターンも存在する。同種の話に「両手に鼻(花)」、切開した胸に手を深く入れて「のどから手が出る」、などがある。この逸話は多くの医大で語り継がれており、養老孟司も南伸坊の著書『解剖学個人授業』で触れているが、真偽の程は定かではない。
もちろんこれらの行動は一般論として死者の尊厳を冒す行為でもあることは言うまでもなく、解剖に自分を捧げた死者、ないし家族を捧げた遺族の意思を踏みにじる行為でもある。自著の中でネタにしたお笑い芸人もいるが、将来医師として社会に貢献することを期待された医学生の行動として不謹慎の誹りは免れない。小説家の羅門祐人は昔医学生だったことがあり、解剖体験記の中でこのことを事前に教授に厳しく注意されたエピソードを紹介している。
なお、漫画『金田一少年の事件簿』(原作・天樹征丸、漫画・さとうふみや、講談社・週刊少年マガジン連載)の「魔犬の森の殺人」(case1)の中で、登場人物の医学生がこの「壁に耳あり」を行うシーンがある。一部では、このエピソードが噂の発端という説もある。しかし、この連載が始まる以前の1986年頃には、すでにこの話は存在していたため、漫画のほうが噂にならったと思われる。