多目的補給モジュール
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
多目的補給モジュール(たもくてきほきゅう-、Multi-Purpose Logistics Module : MPLM)とは、スペースシャトルのミッションで国際宇宙ステーション (ISS) との間で積荷を受け渡すための与圧コンテナである。スペースシャトルの貨物室で運ばれてユニティモジュールに接続され、そこで物資が下ろされ終了した実験や廃棄物が積み込まれる。その後 MPLM は 再びシャトルに積み込まれて地球に戻される。
MPLM は NASA との契約の下でイタリア宇宙事業団 (ASI) から提供されている。3基の MPLM が NASA に引き渡されており、それぞれにイタリアの歴史的な偉人「レオナルド」、「ラファエロ」、「ドナテロ」の名前が付けられている。MPLM を建造したのは ASI だが、所有権は NASA にある。MPLM の建造と引き換えに、ASI は ISS での米国の研究時間を利用する権利を手に入れた[1]。
元々 MPLM は、宇宙ステーション「フリーダム計画」のために設計された。当初はボーイングが建造することになっていたが、1992年にイタリアが4500kgの積荷を運搬できる「小型与圧補給モジュール(Mini-Pressurized Logistics Module)」の建造を発表した。1993年に設計が変更され、長さが2倍になり、「多目的補給モジュール」に改名された。MPLM は空っぽの状態で、だいたい長さが21フィート、直径が15フィート、重さが4.5トンで、10トン以内の積荷を ISS に運搬可能である。
ドナテロは動力付きのペイロードを運搬でき、他の2基よりも能力が優れている。ドナテロは一度だけ、STS-128 で使われる予定で、このミッションでは ISS の搭乗員を3~6人から増やすための設備を運搬することになっている。
2010年にスペースシャトル計画が早期終了するまで、現在のスケジュールでは3基のモジュールはちょうど10回使われる予定である。
目次 |
[編集] 完了したミッション
打ち上げ日 | ミッション | シャトル | MPLM |
---|---|---|---|
2001年3月8日 | STS-102 | ディスカバリー | レオナルド |
2001年4月19日 | STS-100 | アトランティス | ラファエロ |
2001年8月10日 | STS-105 | ディスカバリー | レオナルド |
2001年12月5日 | STS-108 | エンデバー | ラファエロ |
2002年6月5日 | STS-111 | エンデバー | レオナルド |
2005年7月26日 | STS-114 | ディスカバリー | ラファエロ |
2006年7月4日 | STS-121 | ディスカバリー | レオナルド |
[編集] 予定されているミッション
打ち上げ日 | ミッション | シャトル | MPLM |
---|---|---|---|
2008年10月以降 | STS-126 ISS ULF2 | アトランティス | レオナルド |
2009年1月以降 | STS-128 ISS 17A | エンデバー | ドナテロ |
2009年7月以降 | STS-130 ISS 19A | エンデバー | ラファエロ |
[編集] 仕様
- 全長 - 6.4 m
- 全幅 - 4.57 m
- 質量 - 4,082 kg (空積時) / 13,154 kg (積載時)