媒剤
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媒剤(ばいざい メディウム)は絵具に含まれる顔料以外の成分をいう絵画技術用語。媒剤が乾燥し固まることによって顔料の粒子が互いに接着され、支持体表面の地に定着する。展色剤(てんしょくざい ビヒクルまたはバインダー)もほぼ同義だが、媒剤のうち蒸発せずに残る成分を特に指して使われることがある。展色剤を化学変化をともなわずに溶解し、塗った後には蒸発してしまう成分を溶剤という。
[編集] 主な媒剤の成分
絵具に使われる媒剤の成分としては以下のようなものがある。
- 物理的に乾燥するもの
- 溶剤が蒸発することによって固まるもの。日本画の膠、水彩のアラビアゴム、油彩に使われるマスチックやダマールなどの樹脂。
- 物理化学的に乾燥するもの
- 溶剤が蒸発すると化学変化を起こして溶解しなくなるもの。テンペラの乳濁液、アクリル絵具のアクリル樹脂など。
- 化学的に乾燥するもの
- 化学変化のみによって固化して溶解しなくなるもの。油彩画の乾性油、アルキド樹脂など。
- 熱可塑性によるもの
- 熱によって融解した状態で塗られ、冷えて固まるもの。エンカウスティック(蝋画)に用いられる蝋。
[編集] 関連項目
[編集] 参考文献
- 佐藤一郎著、『絵画技術入門』、美術出版社、1988年11月、ISBN 4568321468