孤独
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孤独(こどく・Solitudeあるいはseclusionやisolation) は、他の人々との接触・関係・連絡がない状態。
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[編集] 概要
これは何も深山幽谷にたった一人でいる場合だけではなく、大勢の人々の中にいてなお、自分がたった一人であり、誰からも受け容れられない・理解されていないと感じているならば、それは孤独である。この主観的な状況においては、たとえ他人がその人物と交流があると思っていても、当人がそれを感じ得なければ、孤独といえる。
文学的には、「寂寥」という言い方をすることがある。哲学者の三木清が、『哲学ノート』の中の箴言で「孤独は山にはなく、むしろ町にある」という趣旨のことを言っているのはまさにそのことを指していったもの。
[編集] 類型
孤独には、それに近しい・もしくは含まれる概念が多数存在する。
という言い方もする。一人でいて、それがただ淋しい(他人との交流を求めているのに、その欲求が満たされない状態)という場合もある。英語では、この単なる人恋しくて寂しいという場合は、loneliness として、solitude とは区別される。
[編集] 人間と孤独
人間は社会的動物であるがために、他人との接触を断たれると不安になる個体=個人が多い。これは他の、情動を有する社会的動物に普遍的に見出される習性である。例えばイヌは群から隔離すると仲間を呼ぼうと遠吠えをしたり、攻撃的になったりする。社会を形成する種類のサルでは、安心できる場所に隠れようとしたり、近くに人間がいるような場合には危害を加えたりすることもある。
その一方で人間の場合では、これを昇華する事で様々な活動を行う契機となる場合もあり、文化や芸術における創作活動では、この孤独から生み出された作品も数多く存在する。この中には、寂寞とした心理を表現したものから、より高次の存在を表したもの、または孤独によっていや増した愛情を更に濃密に描き出したものなどがある。
[編集] 孤独の様式
孤独感に関しては、国・地域・社会によっても様々であり、孤独を危険な状態だとして忌避する(孤独な人がいたら、積極的に働き掛ける)社会もある一方で、孤独でいることは当人が望んでいる場合があるので無理に働き掛けない社会もある。
日本では「孤独=良くないこと」として考えられることが多い。その一方でうつ病の人にまで無理に励ましを入れたがるという傾向を持つ者も見られるが、無闇な励ましは当人のストレスとなり、逆効果である。
[編集] 参考文献
- アンドレ・コント・スポンヴィル『愛の哲学、孤独の哲学』紀伊国屋書店 2000年
- ジョン・クーパー・ポーイス『孤独の哲学』みすず書房 1977年
- デイヴィッド・リースマン『孤独な群衆』1950年
[編集] 関連項目
- 孤独は「死に至る病」とも文学的に表現される一方で、病などによって他に助けを求められず孤独の内に死ぬ事は、別格に扱われる。
- しばしば「孤独なスポーツ」と形容される。
- 食事時におけるコミュニティからの疎外による問題。