疎外
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疎外(そがい)とは--(意味:1)社会的に周囲から避けられていることを指す。(英 social rejection) (意味:2)人間が作ったもの(商品・貨幣・制度など)が人間自身から離れ、逆に人間を支配するような疎遠な力として現れること。またそれによって、人間があるべき自己の本質を失う状態をいう。経済、社会、歴史にはそれを動かす一般法則が存在し、この法則を操作する力を持っていない状態のことを指す。2つの異なる概念が同じ用語を使用しているがここでは後者について述べる。
[編集] カール・マルクスによる概念
ドイツの経済学者カール・マルクスはこの用語をゲオルク・ヘーゲル『精神現象学』(1807年)から継承し、経済学用語に鋳直した。
近代的・私的所有制度が普及し、資本主義市場経済が形成されるにつれ、人間と自然が分離し、資本・土地・労働力などに転化する。それに対応し本源的共同体も分離し、人間は資本家・地主・賃金労働者などに転化する。同時に人間の主体的活動であり、社会生活の普遍的基礎をなす労働過程とその生産物は、利潤追求の手段となり、人間が労働力という商品となって資本のもとに従属し、ものを作る主人であることが失われていく。また機械制大工業の発達は、労働をますます単純労働の繰り返しに変え、機械に支配されることによって働く喜びを失わせ、疎外感を増大させる。こうしたなかで、賃金労働者は自分自身を疎外(支配)するもの(資本)を再生産する。
マルクスは「疎外された労働」が再生産されるこのような社会関係を『経済学・哲学草稿』(1844年)で分析し、『経済学批判要綱』(1857年 - 1858年)や『資本論』(1867年、1885年、1894年)に継承した。